江戸東京博物館で戦争体験者の証言映像を常時公開へ…172人分、都が来年度予算に計上の見込み
東京都は来年度から、東京大空襲などの戦争体験者にインタビューした証言映像約170人分を都施設で常時公開する方針を固めた。一部は今年、期間限定で初公開されたが、戦争の記憶を風化させないよう、いつでも視聴できるようにする。 【写真】風船爆弾の模型(江戸東京博物館提供)
都によると、映像は1995~99年に都が戦争体験者330人に取材・収集したもので、うち本人や遺族の同意を得られた172人分を公開する。改修を経て来年度再開する江戸東京博物館(墨田区)に常設の視聴ブースを設ける。
映像は上映施設の建設計画が頓挫し、30年近くにわたり「お蔵入り」になっていた。ロシアのウクライナ侵略を機に、戦争の悲惨さを伝える映像の公開を求める声が高まり、都は今年2~3月の空襲資料展で、同意が得られた122人分の映像を初めて上映した。
有識者らから「映像はいつでも視聴できるようにするべきだ」との意見が相次ぎ、都は常時公開を検討してきた。関連経費を来年度予算案に計上する見込み。
東京大空襲の様子を証言し、2010年に95歳で亡くなった横谷イセ子さんの孫、神尾守さん(52)(品川区)は「祖母は戦争体験を後世に残したいという思いが強かった。証言がずっと見られるようになれば喜ぶと思う」と話した。