元五輪選手の大叔父が本田に檄「上品にやるな!気迫を出せ!」
これが本田家に流れているDNAなのかもしれない。地球の裏側で本田圭佑が、奇跡を起こすための決意と、「結果が判断される大会だから試合で勝てていないのが実力。チームとして個人としての実力」と語っているとき、元オリンピアンの大叔父が、同じような言葉を口にしていた。「私は、どこか冷めた引いた目で見ていますが、これが日本の実力であり圭佑の実力でしょう。ワールドカップに出てくるチームに弱いチームなんてありませんよ。どのチームが上に行ってもおかしくないんです」。
本田大三郎さんは、本田圭佑の祖父である満さんの2つ違いの弟で大叔父にあたる。カヌーの元東京五輪代表選手だが、ハンドボール、ラグビーでも日本代表クラスの実力者で引退後は、自衛隊体育学校、横浜消防訓練センターで長くスポーツの指導者を務めた。長男はレスリングで3度の五輪出場を果たし、その後、プロレスラーに転身、現在は、後進に指導にあたっている本田多聞である。大三郎さんは80歳になるが、現在もトラックにカヌーを積み込んで全国を行脚。町おこしをかねた「カヌー駅伝(リレー)」の普及に走り回っている。 本田が小学校の頃に両親は離婚。本田は父に引き取られたが、その父は仕事で多忙なため、祖父の満さんの自宅に兄弟で預けられた。そこにカヌーの全日本合宿の前後を利用して度々、訪ねてきたのが大三郎さんだった。本田に「将来、世界一のサッカー選手になるため」の練習ノートの付け方を教えた。食事メニューから体重、体温、排泄物の様子まで、日々の体調のチェックから、サッカーの反省の仕方、メンタルの持ち方までをノートに書くように懇切丁寧に教えた。同時に栄養学やアスリートとしての必要な基礎を伝えた。本田は、以降、サッカーノートを書き続けていると聞くが、幼き本田に、成功するための基礎を教えた大三郎さんゆえに遠慮のない物言いで檄を飛ばす。 「私はサッカーの専門家ではないので、無責任に意見を言うことになりますが、綺麗に上品にサッカーをやろうとしすぎているのではないかと感じます。相手選手と一緒に転倒してもすぐに立ち上がってこない。圭佑もそうです。ファイトが足りません。気迫が見えません。フリーキックでも蹴ることを時折、人に譲っていますよね。もっとエゴイズムを出していいでしょう。ゴールに直角に向かっていく攻めや、攻撃が少なく感じます。横の動きばかりでね。パスを回しながら相手のスキを狙うというスタイルはわかりますが、圭佑は、もっと強引に(バイタルエリアへ)入っていっていいのではないでしょうか。なりふり構わず反則ギリギリに泥臭くプレーすることが必要でしょう」。