大谷翔平を褒めまくるジャッジ…その本音は? 4カ月前のドジャース戦後、NY記者に苦笑いした理由「ワールドシリーズで対戦できたらすごいことだね」
ジャッジも認める“コンプリートプレーヤー”
メイザの言葉通り、恵まれた体格と並外れたパワーを持った大谷は少々ストライクゾーンから外れた球でも痛打できてしまう。それも投手にとっては怖いことかもしれないが、ミスショットが増えるのだとすればやはり諸刃の剣。その点が改善された大谷は昨季に続いて今季も打率3割を打ち、同じくハイアベレージを残したジャッジ同様、より隙のない打者に成長したといえるのだろう。 「引っ張ることもあれば、反対方向にも打てるから、守る側としてもどの位置で守ったらいいのかもわからない。それに加えてスピードも持っていて、内野手が下がって守ったらバントまで決めてしまう。守備でミスしたらもう間に合わなくなる。コンプリートプレーヤーだよ。それだけ多くのことができた上で、本塁打でも200号に到達というのは見事としか言いようがない」 7月中旬、メジャー通算200号に達した大谷について話した際も、ジャッジの賞賛の言葉は止まらなかった。自身と同列に語られることも増えた“現代のベーブ・ルース”に対し、熱いリスペクトを抱いていることは間違いない。 もっとも、“コンプリートプレーヤー”という点ではジャッジも同じ。パワーが特筆されることが多いジャッジだが、打撃では確実性を備え、守備では重要なセンターを守ることもあるオールラウンダーである。 ヤンキースタジアムでヤンキースとドジャースが対戦した6月9日、三塁走者だった大谷が浅い右飛で犠飛を狙いホームを陥れたことがあった。その日は右翼を守っていたジャッジが投じた93.4マイルの好返球でギリギリのタイミングになるかと思いきや、スプリントスピード秒速29.4フィートで駆け抜けた大谷が生還。ジャッジの強肩、大谷の俊足が交錯し、両者の稀有な能力を改めて思い知らせたシーンだった。 その試合後、ジャッジが苦笑い。「彼はスピードスターでもあり、素晴らしいアスリートだ」とほとんど嬉しそうに話していたのが思い出される。こんなワクワクするようなシーンがこれから1週間~10日間、何度展開されるのだろうか。 “大谷とワールドシリーズで対戦できればすごいことだね”。7月の取材時、ジャッジに最後にそう水を向けると、「本当にその通りだね」と32歳の好漢は笑顔でグータッチを求めてきた。それから、約3カ月――。 運命の糸に導かれた2人のコンプリートプレーヤーは、すべての野球人にとっての最高の舞台、ワールドシリーズで激突する。“10月の再会”が現実のものとなり、ドラマチックで、崇高感すら漂う、最高級のベースボール・エンターテイメントがまもなく始まろうとしている。
(「メジャーリーグPRESS」杉浦大介 = 文)
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