26年冬季五輪アルペン会場でフランス選手が重傷事故 同僚はコース整備を批判「五輪にふさわしくない」
アルペンスキー男子の22年北京冬季五輪代表シプリアン・サラザン(30=フランス)が27日、イタリア・ボルミオで行われたW杯滑降の練習中に頭部を負傷し、ヘリコプターで病院に緊急搬送された。フランス・スキー連盟によると、サラザンは意識はあるものの硬膜下血腫と診断され、同日に手術を受けるという。 【写真】サラザン救出に駆けつけた医療スタッフ(AP) 昨季4勝などW杯通算5勝のサラザンは練習1回目で最速タイムをマーク。2回目も順調にラップを刻んでいたが、途中で斜面のこぶに当たったとみられ、コントロールを失って空中に投げ出された。背中から雪面に落ちて滑り落ち、コース脇のセーフィティーネットに衝突。医療スタッフが駆けつけ、その場で担架に乗せられてヘリコプターで移送された。 競技会場のステルビオ・スキーセンターは、26年ミラノ・コルティナダンペッツオ冬季五輪ではアルペンスキー男子のコースとして使用される。かねて安全性を疑問視する声もあり、この日はイタリアの選手も右脚を複雑骨折してヘリコプターで搬送されたほか、スイスの選手も膝を負傷して帰国した。また、2年前に同会場で重傷を負ったスイスの選手は同日、25歳での引退を表明した。 サラザンの同僚で北京冬季五輪代表のニルス・アレグレ(30=フランス)はコース整備が不十分だとして「個人的な意見だが、五輪まであと1年なのにこのようなコースを用意するとは、五輪開催にはふさわしくない」と批判した。レースディレクターのオマール・ガリ氏は、主催者が五輪へ向けて安全面をさらにアップグレードする予定と明かした上で、整備不十分との見方を否定。「人為的なミスや用具のミスもある。今日の事故はいずれもこぶに引っかかって起きた。風や気温などコントロールできない要因もある。それを嫌う者もいるだろうが、不可能を可能にするための努力をしているのに、整備不十分というのは理解できない」と反論した。