タテ読みマンガ…マンガ市場の新たな可能性【SENSORS】
■「作品と社会の問題とどう接続するか」
受け入れられる鍵は“社会性”にあるかもしれないと佐渡島さんは語る。 「作品と社会の問題とどう接続していくのか。ヒットするものには社会の空気感や感情とのつながりがありますが、タテ読みマンガ全体が社会性を帯びてない一面もあります。例えば、復讐モノは、自分たちは苦しんでいるので法律関係なく相手も苦しめていい、みたいな価値観で、今までの物語が持っていた正義感と違う正義感が認められてるジャンルだと感じています。そこはコンテンツを作るときの軸が違うから。どちらが正しいとかではありませんが、“社会が求めているもの”を作るのか、“社会をこのようにしたい”と考えて作るかの違いです」 「例えば、『少年ジャンプ』の創刊背景には、戦争を起こさせない考えをいかに子どもたちに持たせるか、という気持ちがあったそうです。一方で、今はSNSでもヘイトの言葉が溢れている。それはヘイトの人たちが“いいね”をし合うから。何もないところでツイートするよりは、ヘイトのツイートをした方が注目が集まりやすかったりする。これと同じ様に、社会の望んでいるものを作ったほうが売れるので、コンテンツ全体がそちらに傾倒していると感じます」