神戸製鋼、中国の車用アルミパネル事業で宝武と合弁最終合意
神戸製鋼所は8日、中国宝武鋼鉄集団と協議していた中国における自動車用アルミパネル事業の合弁化で最終合意し、宝鋼神鋼アルミ板(上海)を設立すると発表した。両社がそれぞれ保有する自動車パネル用仕上げラインを統合して販路拡大を目指すほか、サプライチェーンで発生した端材を中国国内で水平リサイクルする体制を整える。 新会社である宝鋼神鋼汽車アルミ板(上海)は神戸製鋼の中国統括会社である神鋼投資が50%、宝鋼と宝武アルミの2社合計で50%の合弁会社。資本金は約9億元(約180億円)。上海市に本社を置き、河南省三門峡の宝武アルミが持つ自動車パネル仕上げライン(年産能力10万トン)と神戸製鋼の天津拠点(同10万トン)を傘下に置く体制をとる。宝武アルミの鋳造・圧延設備など上工程は合弁の範囲外となった。 中国における自動車用アルミパネル市場では、ノベリス(米国)に次いで神戸製鋼が2016年から量産出荷を開始。その後、中国系企業の進出が相次ぐ中で、中国宝武鋼鉄集団もアルミパネル市場に参入。19年5月に同人アルミに過半出資し、名称を宝武アルミに変更して自動車パネルの製造に乗り出していた。 これまで両者はそれぞれ独自に自動車用アルミパネルを中国で販売してきたが、今年2月に合弁化に向けた調査を開始。両社が保有する設備群を統合することのメリットが大きいことなどを考慮し、8日に神戸製鋼東京本社で合弁契約を締結した。今後、各国の規制当局の承認を得た上で合弁会社を設立する。 自動車パネル事業の合弁化は、宝武側にとっては量産実績を多数有している神戸製鋼の技術を活用できる点でメリットが大きい。一方の神戸製鋼としても、これまで母材を日本(真岡)や韓国(蔚山)から調達していたが、製造ラインなどで発生するリサイクル原料を日本などに返却する手間があった。さらに顧客側から中国国内での水平リサイクルを要望する声もあったため、中国国内で母材を調達する必要性が増しており、今回の合弁化によりこれらの課題を解決できると判断した格好だ。