国内初 植物食恐竜・角竜類の新種 岡山理大など発表 北米移動期示唆
岡山理科大、兵庫県立大などの研究チームは3日、2007~08年に同県丹波篠山市で発見された化石がトリケラトプスに代表される植物食恐竜「角竜類」の新種だったと発表した。角がない原始的なタイプで、国内で角竜類と断定できる化石の発見は初めてという。「篠山の地下に隠された財宝を守る小人」を意味するラテン語などから「ササヤマグノームス・サエグサイ」と命名。国際学術誌の電子版に掲載された。 岡山理科大の千葉謙太郎講師、兵庫県立大の田中公教准教授らは約1億1千万年前の地層から見つかった頭や肩、後ろ脚の計17点の化石を調査。頬骨(きょうこつ)の突起▽V字形になった頭部の骨の鋭い角度▽肩の骨のこぶ―という他にない三つの特徴から新種と判断した。頭部が復元可能なほど保存状態が良く、角竜類の特徴であるくちばしが付いていた形跡もあり判別できた。組織解析の結果、体長約80センチ、体重約10キロの若い個体で、成長しても体長2メートルを超えるような大型恐竜にはならなかったと推定される。
角竜類は頭部に大きな角や襟飾りを持つ恐竜で、トリケラトプスは北米で繁栄した。最も古い化石が中国で見つかっていることからアジアが起源とされるが、日本では角竜類と断定できる発見はこれまでになかった。新種は北米で最古級の角竜類の近縁に当たることも分かり、アジアから北米大陸に渡り始めた時期が1億1千万年前ごろだった可能性が示されたという。 兵庫県庁(神戸市)で記者会見した千葉講師は「これだけきれいな化石が出てきて興奮した。北米に渡ることができた角竜類の生態の研究も進めたい」。田中准教授は「北米に渡ったとみられる時期に大陸がつながり、温暖化で北極域に森林が広がっていたことから角竜類が生息域を拡大したと推測できる」と話した。
新種の化石は4日~11月10日、兵庫県立人と自然の博物館(同県三田市)で展示する。