米国債トレーダー、CPI後の相場上昇想定-利回り4.3%も視野
(ブルームバーグ): 米国債オプションのトレーダーは15日の米消費者物価指数(CPI)発表後の相場急伸と利回り急低下を想定したポジションを取っている。
この1週間に買いが集中したのは、米10年債利回りが約4.3%に低下することで利益を得られるオプション。これは現行水準より約15ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低く、この1カ月余りで最低の水準。指標の10年債利回りがさらに低下して24日までに4.25%を付けた場合、わずか15万ドル(約2350万円)の投資で1500万ドルの利益を得られる高リスクの取引も目立った。
こうした賭けの背景には、米国債が4月の低迷から若干持ち直したことがある。同月には利下げ観測後退で相場は下落、利回りは年初来の高水準に急上昇していた。
その後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が利上げの必要性に否定的見解を示唆したことで市場の懸念が和らいだ。また、4月の米雇用統計で労働市場の落ち着きが示されことで、インフレは根強いものの、利下げに道が開かれた可能性がある。
投資家は現時点で4月のCPI発表待ちだ。同統計は米国債相場上昇が今後も続くかどうかの重要な判断材料になる見通し。14日には、パウエル議長が4月の米生産者物価指数(PPI)について「強弱入り交じっている」と指摘したとの報道を受けて米国債相場が上昇した。
パウエル議長、米金利をより長期に高水準で維持する可能性示す
RJオブライエン・アンド・アソシエーツのデリバティブ(金融派生商品)ブローカー、アレックス・マンザラ氏は「両方向でポジションが多いが、最近は緩和の可能性にかなり傾いてきており、急ピッチの緩和の可能性も考えられる」とした上で、「急激な緩和につながるような何か悪い状況を市場が警戒しているのは明らかだ」との見方を示した。
一方、米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、資産運用会社は引き続き先物のロングを増やしており、4週連続で強気ポジションを追加した。