子ども2人目は「現実的に無理」…子育て世帯にのしかかる経済負担、かつてない勢いで進む少子化
「一生結婚するつもりない」未婚者が上昇傾向
一方、少子化の要因として加速する未婚化も挙げられる。23年の婚姻件数は47万4717組で前年より3万213組減少し、戦後初めて50万組を割り込んだ。50歳時点の未婚率は1980年に男性2・60%、女性4・45%だったが、2020年には男性28・25%、女性17・81%まで上昇している。18~34歳の未婚者のうち「一生結婚するつもりはない」と回答した人は00年以降上昇傾向で、21年時点で男性17・3%、女性14・6%となっている。 結婚を希望する未婚者の「出会い」などを支援しようと、こども家庭庁は昨年度補正予算と今年度当初予算を合わせて計100億円を計上。この予算を活用し、宮城県はAIを活用したマッチングシステムで婚活を支援し、愛媛県はお見合い事業に乗り出している。
SNS上にあふれる子育ての大変さ
こうした政府の取り組みは若者のニーズに合致しているのだろうか。 「ネットでは結婚や出産に関するネガティブな情報ばかり。(若い世代は)リスクを感じて二の足を踏むのかなと思いました」 東京都内の大学1年、南光開斗さん(20)は7月、こども家庭庁の有識者検討会でそう発言した。検討会は、結婚や出産を希望する若者たちが直面する課題を考えようと、こども家庭庁が立ち上げたもの。メンバー12人のうち南光さんを含む7人が20代だ。 南光さん自身は、いつか結婚して子育てしたいという。ただ、SNS(ネット交流サービス)では毎日のように子育ての大変さや結婚の不自由さに関する投稿が流れる。「親ガチャ」や「毒親」といった言葉も並ぶ。 南光さんは「ネット上で、親や家庭にまつわるしんどいことやつらいことが可視化されるようになってきた」と指摘。一方、「親として正しくあらねばならない」との意識が同世代間で強まっていると感じるという。「自分たちの世代は、就活を見据えたキャリア教育などで見通しを持って将来を考える計画性が求められてきた。その中で、結婚や子どもを持つという不確実な未来に対して恐怖を感じやすくなっているかもしれない」と言う。 少子化対策に詳しい、コラムニストの荒川和久さんは「職場結婚に代表される社会的な『お膳立て』の減少や、社会保険料負担の増加などによる若い世代の経済状況の悪化といった若者を取り巻く社会、経済環境の変化が未婚化につながっている。婚活や出会い支援の前に、若者たちの可処分所得を増やさなければ、結婚しようと思える若者は増えない」と指摘する。【塩田彩】