防御率5.69 ヤクルトのリリーフはなぜ打たれる?
プロ野球開幕から1か月をすぎ、広島やオリックスなど低迷期の長かった球団が躍進を果たしている。その一方でヤクルト、DeNA、西武の3チームは勝率3割台と苦戦中だ。いったい勝てない理由はなんなのか?それぞれのチームの事情を探ってみた。 ■西武 深刻な得点力不足は解消できるのか? パ・リーグ最下位に沈む西武、大型連敗こそ避けられているものの、3連戦での勝ち越しはわずかに2回と上昇のきっかけをつかめていない。その原因は打撃不振につきる。チーム得点数102、チーム打率.227、ホームランの13本はすべて12球団で最下位と打線の迫力は皆無に等しい。先月25日には主砲・中村が復帰したが、その後の9試合の平均得点も中村復帰前と変わらず3点強と状況は好転していない。DeNAを戦力外になった森本が本来のポジションである外野ではなく一塁でスタメン出場するなど、打者の人材不足は深刻な状況だ。 表1は主な打者の得点圏での成績だ。得点圏打数が10以上の選手で得点圏打率が3割を超える選手は渡辺。ほとんどの選手が2割前後というひどい状態であることは一目瞭然であるが、とくに注目していただきたいのは三振の数だ。ランサムの15を筆頭に安打よりも三振のほうが多い選手が目立つ。チーム全体での得点圏三振率は.299、パ・リーグ5球団の平均が.209であることからみても非常に高い数字といえるだろう。チャンスの打席でバットに当てることすらできない選手がこれほど多くいては得点が入らないのは道理だろう。 もちろん三振が多いことは悪い面だけではない。じっくりボールを見ていくことの副産物として三振が増えてしまうのは仕方のない面もある。実際西武の四球数はリーグトップの127。出塁数を増やすという面では成功している。しかし、出塁してもそれを返す打者がないのでは意味がない。チャンスで積極的に振っていけるタイプの打者の起用、西武の得点力回復にはこれが必要ではないだろうか。 ※注目選手 アーネスト・メヒア ランサムの不振を受けアトランタ・ブレーブスから獲得した強打の一塁手。メジャーリーグの経験はないもののブレーブスの40人枠には入っておりそれなりの期待は受けていた。マイナーリーグ通算864試合で572打点、3Aの通算でも287試合で199打点と打点を稼げるタイプで、補強ポイントにはぴったり適合している。今シーズンはブレーブス傘下の3Aで開幕から3試合連続本塁打、4月12日からは5試合連続マルチ安打を含む12試合連続安打と絶好調な状態での来日となった。 NPBに適応できるかという最大の問題はもちろんあるが、まだ28歳と若く、当たればチームの救世主となる可能性を感じさせる選手だ。