“諦め”を乗り越えて。中堅GK・山本楓果が6年間の葛藤の末に出した「北海道で勝って」「日本代表に入りたい」という2つの答え【インタビュー|女子Fリーグ】
開幕戦と第8節で勝利を挙げたものの、レギュラーシーズンで6連敗を喫していたエスポラーダ北海道イルネーヴェが、首位での上位リーグ進出を目指すバルドラール浦安ラス・ボニータスと第10節で対戦した。 【画像】女子Fリーグ週間ベスト5一覧 この試合で目を引いたのが、北海道のGK・山本楓果だ。立ち上がりに失点したものの、その後は安定したセービングで北海道のピンチを救った。守備からリズムを取り戻した北海道は、第1ピリオドで2ゴールを挙げると、第2ピリオドでは女王相手に0失点。結果は及ばずとも、北海道は4カ月間で培った連係プレーを見せた。 試合後は勝利をしたチームに話を聞くのが定石だ。しかし試合後に話を聞こうと真っ先に頭に浮かんだのは、山本だった。それだけ浦安の猛攻に対してゴールを守り抜いた20分が印象的だった。 20歳で日本代表入りした山本は、現在は代表活動から離れている。「代表を目指すことを諦めかけた」「移籍をするかを考えていた」と語ったように、6年間この日のようなパフォーマンスを見せるまでにさまざまな葛藤を抱えていたはずだ。そんな山本選手が、悩んだ末にたどり着いた2つの答えとは。 インタビュー・文=伊藤千梅
今もっている力は出せた
──女王・浦安との試合を振り返っていかがですか? すごく楽しかったです。浦安は格上の相手なので自分たちに失うものはないですし、チャレンジャーの気持ちで挑んだ試合でした。 試合前に、守備の時間が長くなると思うから、ショートカウンターを狙っていこうという話はしていました。正直、練習の時は点を取るイメージが湧かなかったのですが、実際に練習した形で攻め込んで、そこから得られたフリーキックで得点することができました。 守備に関しては私のプレーが良かったというよりも、みんながゴール前で体を投げ出してシュートコースを限定してくれたから、私が止められたシーンが増えただけなので、みんなに感謝です。 ──良い試合だったからこそ、悔しさもあるかと思います。 そうですね。第2ピリオドもチャンスが何回かあったのでいけるかなと思った部分もありました。 試合の入りで好きにやらせすぎてしまったことは反省点です。失点してもその流れを断ち切って得点できたことは良い部分ではありますが、第2ピリオドは0-0だったからこそ、最初から自分たちの流れをつくれたら良かったねという話は、試合後にみんなでしました。 悔しさはありますが、試合後のロッカールームでもみんな前向きでしたし、今もっている力を出せたと思うので、次につながる試合にできたと思います。 ──レギュラーシーズン最後の試合はフウガドールすみだレディースとの対戦ですが、どんな気持ちで挑みますか? 下位リーグは決定してしまいましたが、勝って終わって次につなげようと思っています。誰も気持ちは落ちていなかったですし、明日に向けていい準備ができるかなと思います。 ──去年のレギュラーシーズン最終節と同じカードで、すみだはリベンジを狙ってくると思います。 去年は1点差で勝つことができましたが、正直、内容としてどちらが勝ってもおかしくない試合でした。すみださんは今シーズン結果を残していますし、勢いがあるので、簡単に勝てるとは思っていません。ただ、だからといってこちらが臆する必要もないと思っています。今日の試合と同じように受け身にならずチャレンジャーの気持ちでいけば、絶対うまくいくと思います。私もしっかりとゴールを守りたいです。 ※翌日行われたすみだvs北海道の試合は3-3の引き分けとなった。