みんな使った三菱鉛筆の高級鉛筆「uni」愛され66年 「お前が社長になれると思うな」突き放された老舗の6代目
◆「お前が社長になれると思うなよ」
数原氏は、三菱鉛筆の社長に就任する前に、父に何度か言われた言葉があります。 「会社は、数原家のものじゃないぞ。だから、お前は別に社長になれると思うなよ」。 数原氏は慶応大卒業後、野村総研に入社します。 祖父や父がいる三菱鉛筆のおかげで、学校に行けたと思っていたので、何らかの役に立ちたいとは思っていました。 一方で、三菱鉛筆に入社することになっても、先代や先々代と同じ道を進んでもしょうがないから、「外の会社を勉強して、違う軸で勝負したい」とも思っていたといいます。
◆評価するのは数原家の人間じゃない
数原氏は、4年間を野村総研で過ごしました。 しかし、ある日、当時社長であった父から「会社(三菱鉛筆)に入るなら、そろそろじゃないか」と言われ、2005年に三菱鉛筆に入社します。 しかし、数原氏は「社長になれると思うな」という、父が言った突き放された言葉がひっかかっていました。 真意は何だったのでしょうか。 会長である父・英一郎氏は「後継について、評価をするのは数原家の人間ではない。社員であり、世間だ。だから人一倍努力しろという思いがあった」と明かします。 一方で、英一郎氏は「そんな言葉を言った記憶はないな」とも付け加えた。 数原氏は「互いにもっと色んなキャッチボールをしていたから、強く記憶に残る言葉のポイントは違うのかもしれないですね」と振り返りました。
■三菱鉛筆株式会社
1887年(明治20年)、東京市四谷区内藤新宿1番地にて創業。1901年、逓信省(現 総務省)へ初めての国産鉛筆(局用1号・2号・3号)を納入。1958年、高級鉛筆「ユニ」(当初4H~4B)発売。2020年に数原慈彦氏が6代目代表取締役社長に就任。第32回日本文具大賞2023にて「uni 詰替用」がグランプリを、ほか3商品で2023年度グッドデザイン賞を受賞するなど、受賞歴多数