【全日本大学駅伝】「桑田、クヨクヨしてる場合じゃないよ」5連覇狙った駒澤大学、3区16位スタートから猛追の2位
11月3日に開催された第56回全日本大学駅伝で、大会史上初の5連覇を狙った駒澤大学は2位だった。前回大会MVPの佐藤圭汰(3年、洛南)をけがの影響で欠き、2区終了時点で16位と苦しんだものの、そこから猛追。7区の篠原倖太朗(4年、富里)と最終8区の山川拓馬(3年、上伊那農業)が連続で区間賞を獲得し、優勝の國學院大學と28秒差まで詰めた。 【写真】「あと少し……」悔しそうな表情で2位のフィニッシュテープを切った山川拓馬
2大会連続「切り札」が担った2区で苦しく
レース前日にあった監督会見で、駒澤大の藤田敦史監督が興味深い発言をしていた。早稲田大学時代に8区の日本人最高記録、56分59秒を打ち立てた渡辺康幸さんが、「仮に國學院大學の平林清澄選手(4年、美方)がアンカーに来たら、優勝するためにどれぐらいの貯金が欲しいか」という質問をしたときだ。他のチームの監督が「2分でも3分でもほしい」などと答える中、藤田監督だけは「山川拓馬をエントリーしていますが、同着で来れば勝てるのではないかなと思います」。これには、國學院大の前田康弘監督が思わず「平林の評価がちょっと低いですね」と苦笑いするほどだった。 1区を任されたのは、出雲駅伝で3大駅伝デビューを果たした島子公佑(2年、伊賀白鳳)。スローペースとなったことで、ラスト1kmを切っても20人近くの大集団でレースが進み、大きな差がつきづらい展開となった。トップの日本体育大学とは7秒差で2区へ。過去2大会、駒澤大はここで佐藤が「切り札」の役割を果たしてきた。今回は藤田監督が「力をつけている」と評価するルーキーの桑田駿介(1年、倉敷)を自信を持って送り出した。 ただ、「1年生であそこの区間を任せてしまったのは、選手層の薄さから来るもの。プレッシャーとか重荷もあったかな」と藤田監督。桑田は動きが重く、区間17位。順位を16位まで落とし、5連覇への道が遠のいてしまった。ただレース後、藤田監督がかける桑田への期待値は変わっていなかった。「うちのチームは総監督の大八木(弘明)のときからそうですけど、将来エースになり得る人間は、1年生だろうがエース区間に入れてきました。この悔しさを持って、彼が今度どういう風に成長していくか、非常に楽しみです」