ブリング・ミー・ザ・ホライズンのオリーが語る、衝撃カムバックの真意、日本との絆
日本はバンドにとって特別な場所
ーアルバム全体のコンセプトについても聞きたいのですが、以前からすでに「Church of Genxsis」の存在はあるし、今回は「YOUtopia」が出てくるし、AIも登場しますよね。まだ秘密にしておきたい部分もあるとは思いますが、アルバム全体を貫くこういうものを通して、どのようなストーリー、コンセプトを考えたのですか? オリー 今回のアルバムのすべての曲に三つの異なるものが入ってるんだ。第一に、自分にとって意味を持つもの、自分の葛藤に意味を持つもの、自分は人生のどこにいるのかということ。第二に、僕たちは社会のどこに存在するのかということ。そして第三に、世界に関することだ。それでアルバムの中では、僕が作り上げた虚構の世界でストーリーが語られていくことになる。YOUtopiaには三つのレベルがあって、曲の「YOUtopia」でも描いてる、セルフラブ、ありのままの自分自身を受け入れること。そして、外部から自己肯定と満足感を見出しても幸せにはなれないし、完璧にはなれないということ。さらに、自分探しのために一歩踏み出すことを恐れてるけど、実はそれが人生で最大の障害だと気づくことというのがあるんだ。 僕は今までの人生、ずっと本当の自分から離れてたし、自分のことを意識しないように生きてきた。これまでの傷もすべてが癒えたわけではなくて、そういう傷から目をそらしてただけだった。だから僕は自分がいるべき場所にはいなかったんだ。これを社会のレベルでとらえてみると、僕たちはみんな病んでるし、誰も完璧ではないし、僕たちはそのことを自覚せざるを得ない。そこでは自分が非常にユニークな存在だという感覚を失ってしまってるんだ。本当はユニークな存在だからこそ、僕たちは美しい存在なのに。それどころか、他の人や他のものごとを見て、そういう風になれたらいいなということばかりを考えてる。でも本当に大切なのは、自分が何者なのかに触れること、自分が特別な存在なのを知ることなんだ。僕たちは特別なギフトをもらってるわけで、それを世界と分かち合い、世界に与えなきゃいけない。でもこの社会、この世界にいると、そういうことを忘れてしまう。それで自分が持っていないもの、自分とは関係のないものばかりに目を向けてしまうんだ。 YOUtopiaとは、本当の自分に触れること、自分の中に居場所を見つけること、自分自身を愛し、誇りを持つことを意味する。『SURVIVAL HORROR』では、寄生するウイルスと人類の運命を描いたけど、今回のアルバムではAIロボットであるE.V.E.が登場して、その任務は人類に残されたものを救うことになってる。E.V.E.は科学と道徳の限界を試す任務に乗り出すんだ。彼女はこの地球上でウイルスの免疫を持つ人を見つけるんだけど、他の惑星も存在していて。僕はそれをYOUtopiaと呼んでる。そこで彼女は本当の平和と充足というものを自分の中に見出すんだ。これ以上話すと話しすぎになるけど、このアルバムはそういう人類の危機をテーマにしてる。ユートピア、ハイな状態、幸せを意味もなく求めてることで、今はみんなが苦しんでるし、一時的で無意味な高揚感の中毒になってる。このアルバムのアイデア、YOUtopiaのアイデアは、本当の平和と調和は外部のものや人工的なものを通してではなく、内面の成長と自己の実現によって可能になるということなんだ。自由な意思と一人ひとりが持つ固有の価値こそが大切だから。それを僕たちは忘れてしまってるんだよね。 ーもうすぐサマーソニックで来日しますが、今回はどのようなライブを考えていますか? ニュー・アルバムからの曲はプレイしますよね。 オリー そうしたいと思ってる。アルバムのお気に入りの曲をセットリストに入れたいからね。今ちょうど「Top 10 staTues tHat CriEd bloO」をセットリストに追加したばかりなんだ。去年、日本で僕たちはNEX_FESTを主催してるから、今回はあの世界観をさらに広げたものになると思う。今一度日本の多様なオーディエンスに向けてライブをやれるのが楽しみだね。5年振りの出演になるけど、サマーソニックはいつだって最高だよ。前回来日した時にも話してるけど、ブリング・ミー・ザ・ホライズンと日本の関係は、この3年で大きく進展したと思うんだ。だから僕自身、今回のサマーソニックで何を感じられるのか、とても楽しみにしてる。 ーサマーソニックにはオーロラもPaleduskも出演しますね。 オリー 「liMOusIne (feat. AURORA)」を一緒にやらないとね。 ー昨年、NEX_FESTをやるに当たって、音楽を通していろんな人たちをつなげたいと話していましたが、実際にそうなりましたよね。手応えはどうでした? 2回目の開催はありますか? オリー もちろんまたやりたいね。そもそも僕たちがメインでBABYMETALがサポートなんて、あり得ないことだから(笑)。あれは間違いなく僕たちの日本でのキャリアにおける最大のショーになった。日本は大好きな国だし、日本が僕にとってどれだけ意味があるのかについては何度も話してきた。日本に行くのは10年前から大好きだったけど、僕たちがビッグになるにつれて、マネージャーは日本でのブッキングを後回しにするようになってね。でも日本は今ではバンドにとって特別な場所になった。それに、僕たちの音楽は日本人に合うと思うんだよね。僕はいろんな音楽が好きで、ジャンルに関係なく音楽が持つエモーションが好きだから。そういう意味でも、僕たちの音楽は日本に向けられる運命にあったと思ってる。 『POST HUMAN: NeX GEn』 ブリング・ミー・ザ・ホライズン ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 配信中/国内盤CD:9月27日リリース予定 SUMMER SONIC 2024 8月17日(土)~18日(日) 東京:ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセ 大阪:万博記念公園 ※ブリング・ミー・ザ・ホライズンは8月17日(土)大阪会場、18日(日)東京会場に出演
Toshiya Ohno