ブリング・ミー・ザ・ホライズンのオリーが語る、衝撃カムバックの真意、日本との絆
影響されたあらゆる音楽へのオマージュ
ーアルバムで初披露となる「Top 10 staTues tHat CriEd bloOd」はかなりクレイジーな曲になりましたね。クリエイティブの自由に溢れているし、J-POPや日本のバンドのFACTの雰囲気も感じました。 オリー FACTの名前を出してくれたのはうれしいよ。FACTはこの曲を作る直前にDAIDAI(Paledusk)が聴かせてくれたんだ。FACTは僕のイギリスの昔からの友達(アダム・グラハム)がいたからすでに知ってたけど、ちゃんと聴いたことがなかった。「Top 10 staTues tHat CriEd bloOd」はFACTからの影響が大きく入った曲だけど、DAIDAI、Paledusk、日本のバンドのモダンメタル、エモ、ハードコアに対するアプローチからもインスパイアされてる。目標としたのは、真の意味でのエクストリームなポップソングを作ることだった。ポップなコーラスのあるロックソングを作りたかったわけではなく、エクストリームを極めたポップソングを作りたかったんだ。日本からの影響はこの曲がアルバムの中では一番かもしれない。 ー「liMOusIne (feat. AURORA)」では、また違うヴァイブスのエモーショナル感が入っていますよね。この曲では客演にオーロラを迎えていますが、今回も女性ボーカルのフィーチャーが上手いと思いました。この曲で表現したかったこと、オーロラをフィーチャーした理由を教えてください。 オリー デフトーンズとかシューゲイザー、チェルシー・ウルフなどにインスパイアされて出来た曲だ。このアルバム自体、エモ、ハードコア、グランジ、シューゲイザーといった、僕が影響を受けてきたあらゆる音楽に対するオマージュにもなってる。この曲を作った時、客演を入れたいと思ったものの、そのままでもすでに完璧な曲だと感じていて。客演を入れるなら、新しいものを持ち込んで、この曲をネクストレベルまで持ち上げてくれるアーティストが必要だと思ったんだ。オーロラをフィーチャーするアイデアは、ドリーミーでハスキーでディープな声が良いと思ったから。それでオーロラのInstagramにDMしたんだけど、返事をくれたのは10日後だった。その間、きっと彼女はこの曲をやりたくないんじゃないかと思ってたよ(笑)。でも返事をくれて、「この曲大好き! やりましょう」って言ってくれて。自分で考えたメロディで歌ってくれて、曲を完成させてくれた。この曲には元々ディープな感情があって、それが何かとつながることで、どこか懐かしい感覚も持てるようなところもあった。でも客演が入ることで、その感覚がなくなるんじゃないかという恐れもあったんだ。でも彼女はこの曲を完全に理解してくれたし、僕が期待してたように、さらに新たな次元まで持っていってくれた。 ーオリーはあらゆるジャンルの音楽にアクセスして、過去のノスタルジアも最新のデジタルも呑み込み、その上でフレッシュで新しい音楽を作るということをやっていますよね。これだけ異なる要素を扱いながらも、一つの世界観として成立できているのは何故だと思いますか? オリー どれも僕が大好きなサウンドと音楽だから。それだけじゃないかな。もちろんこういうことをやると上手くいかないって主張する人もいるよ。だけど僕には何の問題もないんだ。僕がやりたいサウンド、ジャンルはすべて僕が好きなものだから。僕が昔バンドをやる前の時のことだけど、友達といろいろやってみて、何とかバンドを形にしようと思ってたんだ。楽器を演奏することもできないし、作った曲もひどいんだけど、「俺がドラムをやるから、おまえはボーカルで、おまえはギター」って感じで、曲をやるごとに楽器を交替してやってみたりしてた。その時に思ったことがあるんだけど、何でアルバムって全曲同じサウンドなんだろう?って。大好きだったリンキン・パークも、アルバムは全曲同じサウンドなんだ。ロック、レゲエ、R&B、どのジャンルにしても、どのバンドも同じサウンドしかやらないのは何故だろう?ってずっと思ってたんだ。でも歳を重ねて音楽のことがわかるようになって、多くの人はロックとレゲエとダンスを同時に聴きたいとは思わないからだと思って。ほとんどの人はロックならロック、レゲエならレゲエだけを聴きたいわけだから。 もちろんそれはそれで理解できるけど、僕自身は何でも好きで聴いてたからね。ハードコアもデスメタルもダンス・ミュージックもポップ・ミュージックもずっと好きだったから。特にデスメタル、ブラックメタルにハマってた時も、ヒラリー・ダフとかブリトニー・スピアーズを聴いてたぐらいだから(笑)。僕はとにかくずっとそんな感じなんだ。それが僕という人間だし、クールなフリをしたり、マニアックなフリをする必要もない。だからアルバムの全曲が同じサウンドっていうのは、僕には納得がいかないんだよね。アルバムのどの曲からも、それぞれ僕の脳の異なる部分を刺激してほしいんだ。みんながアルバム全曲、同じようなサウンドを聴きたいのもわかるし、そうした方がバンドは商業的には成功するかもしれない。だけど僕はいろんなことをやりたすぎるし、いろんなバンドのサウンドをやりたすぎるし、自分自身でも聴いてみたいんだ。今回のアルバムが全曲聴き手にアピールできるかどうかはわからないよ。でもこれは僕のハートが求めてることだし、このアルバムで初めて自分のそういう部分に触れて、とにかくやってみよう、他の人のことなんて気にしないでやろうっていう感じになれたんだ。