【体験談】「好きな道を選びなさい」で迷走して、親子げんか 娘がたどりついた道は?
藤田静香さん(仮名)の長女は、現在、日本女子大学理学部の1年生です。総合型選抜で年内に合格を決めており、極めて順調な受験に見えますが、藤田さんによると、当時は苦しい気持ちがピークのまま続き「山あり谷ありというより、山に登りっぱなしのような気持ち」だったそうです。迷走した進路選び、親子間の衝突など、受験期の出来事を振り返ってもらいました。(イラスト=Michiko Nishikawa) 【写真】受験当日、参考書にはさんで持ち歩いていたお守り(写真=本人提供)
なんとなく理系へ 迷走した進路選び
始まりから終わりまで、とにかくハラハラ。これが娘の大学受験に対する私の感想です。大学で学びたいことや志望校を見極めるというスタート地点から、娘の大学受験は迷いの連続でした。 娘は社交的な性格ですが、自己主張が強いわけではなく、周りの雰囲気を読んで順応するのが上手なタイプ。部活も「友達に誘われたから」という理由で決めるような子です。とはいえ、進路についてはさすがに人任せにできません。「生物が好き」「何となく人体の仕組みに興味がある」という理由で、高2からは理系進学を見据えた授業を選択したものの、医学部を目指すほど理系科目が得意だったわけではなく、どの大学の何学部を目指せばいいのか、わからずに悩んでいるようでした。
本当は心配、でも口出しはしない
夫と私は、進路は娘自身が決めることだと思っていましたし、娘が決めた進路ならば、大学以外の選択肢であっても応援するつもりでした。志望校選びについても、塾の勉強や模試の成績についても、一切口出しはしませんでした。 もちろん内心は、夫も私も不安でいっぱいでした。当時の夫婦の会話は、ほぼすべて娘のこと。2人のときは「この前の模試はどうだったのかな」「帰りが随分遅いけど、まだ自習室にいるのかな」などと話していても、娘の前ではそういう気持ちをグッと抑えて、「自分の道は自分で選びなさい。私たちはあなたが選んだ道をサポートするから」と言葉をかけていました。 それでも、受験本番まで1年を切ったころからは、娘と何度も衝突しました。進路が定まらないことに焦りは感じていても、学校や塾ではそういう部分を見せられず、ストレスがたまっていたのでしょう。帰宅後、少しでも受験の話をすると、「お父さんとお母さんは文系出身だから、理系の大変さはわからないでしょ!」と感情的になる娘に、私もつい強い言葉を返してしまうこともありました。