FRUITS ZIPPER、CUTIE STREET……KAWAII LAB.が若者に刺さる理由は「とか」にあり?
アソビシステムが手がけ、躍進を続けるアイドルプロジェクト KAWAII LAB.所属のグループ。FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE、SWEET STEADY、そしてCUTIE STREET。どのグループも独自の「かわいい=NEW KAWAII」を追求しながらアイデンティティーを確立しているが、楽曲の歌詞に注目してみると、「とか」という表現が多用されていることも共通項のひとつとして挙げることができる。この「とか」を歌詞に用いることでどのような効果が生まれ、楽曲をリスナーに届ける上でどのような影響をもたらしているのか、考察してみたい。 【写真】KAWAII LAB.グループが勢揃い!個性輝く合同イベント ■「とか」の文法的分類 そもそも「とか」には文法的にどのような用法があるのか。『デジタル大辞泉』を見てみると、「~だとか」といった“はっきりしない事柄の指示”や「~とか~とか」といった“並列/列挙”などのさまざまな用法がある(※1)。そのなかで注目したいのが、「学校とかから帰る」のように使われる「断定を避け、あいまいにする」用法にある「1990年代前半から若者のあいだで使われ、すぐに大人にも広まった。多用する話し方を『とか弁』ともいう」という記述だ。 KAWAII LAB.の楽曲で歌詞に「とか」が含まれているものを見てみると、FRUITS ZIPPER「ハピチョコ」の〈ちょこっとは予算とカロリーとかはオーバーでもね〉や、CANDY TUNE「必殺あざとポーズ」の〈きっと私より性格とか/見た目とか良い子居るじゃん〉は先述の“並列/列挙”のパターンであるが、FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」の〈どんな表情してるかとか/気持ちわるいくらい想像しちゃうから〉、CANDY TUNE「キス・ミー・パティシエ」の〈わたし以外とか絶対許さないからね〉〈重すぎとか禁句夢中になってよね〉、SWEET STEADY「ぱじゃまぱーてぃー!」の〈安くて良いメイクがあるよ!/とか勝負は日々情報収集〉、CUTIE STREET「かわいいだけじゃだめですか?」の〈宇宙とかに比べたらさ、/ちっぽけだ私たち〉については、“断定を避け、あいまいにする”用法、とりわけ若者言葉である「とか弁」として多く使用されていると捉えることができる。 この「とか弁」については言語学の学者たちが1990年代以降の若者言葉の変遷としてさまざまな論文で扱っているようで、1999年に発表された『「とか」弁のコミュニケーション心理』という論文では「ぼかし表現」として「相手と正面から向き合って衝突することを避け、相手を傷つけない・相手に傷つけられないように距離を置いた人間関係を志向する心理のあらわれとして受けとめられていった」(※2)とある。逆に言えば、幅広いリスナーに親しみをもって楽曲を発信するためには「ぼかし表現」が有効で、そういった背景もKAWAII LAB.の楽曲で「とか」が多用されている大きな要因であると読み取っても差し支えないはずだ。
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