日銀試算の需給ギャップ、16四半期連続マイナス-1~3月
(ブルームバーグ): 日本銀行は3日、日本経済の潜在的な供給力と実際の需要の差である需給ギャップが1-3月期にマイナス0.66%になったとの試算を発表した。供給が需要を上回るのは16四半期連続となる。
供給超過幅は前期のマイナス0.03%から拡大した。前期は4月の速報段階ではプラス0.02%と約4年ぶりのプラス圏に浮上していたが、マイナスに改定された。1-3月は労働投入ギャップがプラス0.26%と需要超過幅を拡大する一方、資本投入ギャップがマイナス0.93%に悪化し、需要不足拡大の要因となった。
日銀では2%の物価安定目標の実現に向けて、需給ギャップやインフレ期待、賃金上昇率などを反映する基調的な物価上昇率の動向を重視している。円安加速などを背景に、市場では日銀による早期の追加利上げ観測が浮上しているが、今回の結果はこれを後押しする材料にはならなかった。
植田和男総裁は6月の国会答弁で、基調的な物価上昇率が2%に達する確度が高まれば、「短期金利の水準を引き上げる」と発言した。日銀は新たな経済・物価情勢の展望(展望リポート)を議論する30、31日の金融政策決定会合に向けて、基調的な物価の動向を入念に点検する。
需給ギャップは、推計方法によって結果が異なるため、幅を持って見る必要がある。日銀は生産設備の稼働率や失業率、労働参加率などから試算。一方、国内総生産(GDP)から算出する内閣府の指標では、1-3月期は1次速報の段階でマイナス1.1%と3四半期連続の供給超過となっている。
関連記事
(c)2024 Bloomberg L.P.
Sumio Ito