8年間で逆転した運命…検事出身の尹氏は審判台へ、辺境の長だった李氏は巨大野党代表に
韓国政界では8年前に起きた朴槿恵(パク・クネ)元大統領弾劾時と比較し、境遇が逆転した人物が話題だ。 ◇尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏、任期折り返し地点で弾劾審判台へ 職務停止となった尹錫悦大統領が代表的だ。2016年12月「崔順実(チェ・スンシル/改名後チェ・ソウォン)国政壟断」特検チームの捜査チーム長として朴元大統領に対して「剣先」を向けていた尹氏は、14日、国会本会議で弾劾訴追案が通過し、8年を経て憲法裁判所の審判場に立つことになった。朴槿恵政府初期、「検事・尹錫悦」は捜査外圧疑惑を暴露した後に左遷されたが特検を通じて華々しく復帰した。尹氏が率いた捜査チームが暴いた捜査結果に基づき、憲法裁判所は朴元大統領の弾劾を認容した。 その後、尹氏は常勝疾走した。2017年5月文在寅(ムン・ジェイン)政府スタート以降、ソウル中央地検長に抜擢(ばってき)され、その次は高等検察庁長を飛び越えて検察総長に就いた。「曺国(チョ・グク)事態」で文在寅政府を離れた後は政治入門4カ月ぶりに第一野党の大統領選候補になり、大統領選挙で勝ち抜いて第20代大韓民国大統領になった。だが、任期2年5カ月ほどを残して、今度は自身が弾劾訴追対象になった。 ◇韓東勲(ハン・ドンフン)氏、“護衛武士”から離れて「弾劾可決」叫ぶ 尹大統領弾劾訴追案可決後、党から退陣圧迫を受けている与党「国民の力」韓東勲代表の運命も複雑だ。特別捜査部から出た「特捜通」検事だった韓氏は尹大統領とは20年来の縁がある。崔順実特検をはじめ、数回共に仕事をしたことがある。尹大統領は就任直後、韓氏を初代法務部長官に抜擢し、今年4月総選挙を控えて党非常対策委員長も任せた。 だが、韓代表と尹大統領の関係は総選挙過程で揺らぎ始めた。7・23全党大会後に代表になったものの、尹大統領との葛藤はさらに深まり、12・3戒厳事態以降は尹大統領の対称点に立った。韓氏は戒厳宣言当日には野党と戒厳解除議決に参加し、2回目の弾劾訴追案表決を控えて「弾劾賛成」を叫んて弾劾案可決に決定的役割を果たした。 ◇李氏、8年前辺境の市長から大統領選挙走者へ 前回の大統領選挙の時、尹大統領に0.73%ポイント差で負けた野党「共に民主党」李在明(イ・ジェミョン)代表の境遇は180度変わった。8年前でさえ、ソウル市と接する城南市(ソンナムシ)の再選市長だったが、今や弾劾を主導した巨大野党の代表になった。李氏は2016年朴槿恵弾劾政局の時、歯に衣を着せない特有の話しぶりで真っ先に「朴槿恵 下野、弾劾」を叫んだ。これに野党のコア支持層が熱狂して翌年の党内大統領選候補予備選では安熙正(アン・ヒジョン)当時忠南知事に続き3位を占めた。 現在は有力次期大統領選挙走者の1人となった。李氏は15日の記者会見で国政正常化と混乱収拾を強調したことも大統領選挙を念頭に置いた布石だとみられる。 弾劾局面の中で、主演を食う脇役、いわゆる「シーンスティーラー」たちも目につく。国民の力の権性東(クォン・ソンドン)院内代表は8年前の弾劾訴追案可決時は国会法制司法委員長で弾劾訴追委員長を務めていた。その後、2016年12月27日セヌリ党を離党して正しい政党に合流した。権代表は憲法裁判所が朴元大統領の罷免を決めると「国民主権主義と法治主義を確認した判決」と評価した。国会本会議弾劾表決を控えて院内代表になった権代表は14日の表決時は尹大統領弾劾反対世論を守ってきた。 8年前、当時与党だったセヌリ党院内代表で弾劾訴追案自由投票方針を主導した鄭鎭碩(チョン・ジンソク)大統領室秘書室長は現在大統領職務停止状態で大統領室を引っ張る任務を引き受けている。政界関係者は「政治家の運命は実に奇妙だ」とし「尹大統領の場合、朴元大統領を罷免させた張本人ともいえるが、本人が憲裁審判台に立つことになるなんて」と話した。