「妻との家事の負担率が納得できない」39歳・共働き夫の相談に名越康文が的確アドバイス
さまざまなメディアで活躍する精神科医・名越康文さんが30代、40代男性の悩みに答える本連載。 ▶︎すべての写真を見る
今回は、どこの家庭でも“あるある”な家事分担の問題にバッサリ切り込む。
【Question #03】夫はどのくらい家事を負担するべきでしょうか?
共働きですが、妻より自分の方が稼ぎがあります。稼ぎに差がある分、家事や育児の負担も差があっていいのではと思っています。自分もゴミ捨てなどはしますが、妻からは「もっと家事をしてほしい」と文句を言われます。一般的に夫はどれくらい負担するべきでしょうか?(39歳・神奈川県)
【Answer】まずはパートナーとの意識のギャップを埋める努力を!
日本の場合、小さな子どものいる男性の家事・育児の分担比率は約15%程度 ※といわれています。この比率は欧米と比べて2倍以上低く、日本には「男性は仕事、女性は家事」という考え方が社会に根強く残っています。 ※総務省「社会生活基準調査」(2021年調査)(※P7図4参照) いろいろな人の話を聞くと、「妻と5分5分で分担している」と思っている方でも、客観的に見たら2割程度しか分担していないということも少なくないのです。
長年臨床をしていると、もちろん自分も含めて、人間は自分の側からしか世界を見られないことが前提で、中立というのはほぼあり得ないと分かってくるのですが、このことをいつも意識して生きることは至難なのです。 人間は主観的な生き物です。実際は「2」しかしていなくても、「5やっている」と思ってしまうのは誰にでも当てはまることなのでしょう。 僕も、物事をついつい自分本位に考えてしまい、身近な人に言われて初めてハッと気づくことが、この歳になってもまだあります。
ではどうすれば良いのか。もし建設的に同意が取れるのであればですが、家庭の中で自分は何をしていて、妻はどんな用事をしているのか把握するために、まずは夫婦がやっていることを、お互いに書き出してみるという方法もあります。
そうすると、「そうか、妻は毎日こんなこともやっているんだ」と、これまで自分ではまったく気づかなかったことがいくつも出てくるはずです。同じように妻側から見ても、夫がやってくれていることに対して新たな発見が得られる可能性があります。 そうやってお互いに対する不満や怒りの種をある程度小さくしたうえで、家族会議を開くのもひとつのやり方です。 その場合、まずは美味しいものを食べてゆっくりお茶を飲んで、お互いにほっこりしてから「ちょっと10分くらい話をしましょうか」という感じで、自然にもっていっていただけると最高です。