ノーベル賞で世界に注目された被爆証言 謝礼金補助を一律制度化できない広島市のジレンマ
ある市幹部は「例えば被爆体験から、平和について学ぼうと子供たちが広島を訪れて聞いたのは原発否定の演説を含む講話だった-。そんなことが起こらないための措置だ」と話す。
■ふさわしい方に
被爆者の平均年齢は85歳を超え、残された時間は多くない。約1年とされるセンターでの研修期間ですら「惜しい」と感じる証言者もいる。団体側からすれば、今さら市の枠組みには入りづらいというのが実情だ。
団体側の証言者には朝鮮半島にルーツを持つ人もおり、「そういうところに重点を置いて語れる人も学校が求めている」(広島被爆者団体連絡会議の田中聡司事務局長)とはいえ、費用がかからなければ、センター委嘱の証言者の依頼だけが増えるとの懸念が強い。
要望に対し、センター会長を務める松井一実市長の見解はどうか。11月8日の記者会見で「われわれとして(証言をしてくださいと)お願いするのにふさわしい方々にわれわれの税金を使って活動していただく」と述べ、センターから委嘱を受けない限り、団体側への補助は難しいとの認識を示した。(矢田幸己)
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