【南 果歩さん・60歳】乳がん、うつ病、離婚を経て…「40代こそ人生のスタートだった」|美ST
おもしろい役を訪ねて三千里。経験を積んだ20代の気持ちです
今はすっかり季節が変わりました。子育てが終わり、予期せぬ独身に戻り時間割りが変わったのです。家族に自分のスケジュールを相談しなくても、即断即決できる。それってほんとに快適。まさに20代に戻った感じですが、ただ20代じゃなく、うんと経験を積んだ 20代の気持ちでいます。 50代半ばからはどんどん新しいことに挑戦しています。在日コリアンのファミリーヒストリーを描いた米国ドラマ「Pachinko パチンコ」のオーディションに挑戦したときは56歳。今年前半は、韓国と台湾でそれぞれ映画の撮影をしていますが、海外を特に視野に入れているわけではないんです。私の年代は母親役ばかりになりますが、母親でも人間性を描いている役をやりたい。おもしろいと思える役を探して三千里という感じです。 東日本大震災後からは、読み聞かせボランティアがライフワークです。コロナ禍ではリモートで読み聞かせをしていたのですが、出版社から絵本の使用許可がなかなかいただけなくて。私が以前秘かに書いていた物語をリライトして、絵本『一生ぶんのだっこ』を創作し、同年、半生を綴ったエッセイ『乙女オバさん』も出版しました。 いろいろ同時にやっているように見えますが、1つずつコマを進めて次のサイコロを振るという感覚です。やみくもにジャンプするのではなく、1つずつやった先に扉が開いてきました。プライベートでは、もっと自分を成長させるために、行きたい場所に行き、見たいものを見て、どんどん夢を叶えていこうと思っています。今年はずっと行きたかったアンコールワットに行きます。エジプトも絶対いつか行ってみたい。結婚は、本当に人生を共にしたい人が現れたら考えます(笑)。 誰かの真似でなく、個性を生かし、自分が人生の主人公として、自分自身を生きている人、が美しい人だと思います。私は瀬戸内寂聴先生が好き。最後まであんなふうに生きられたら最高ですね。