漬物作り文化を次世代へ 虹のマート(青森県弘前市)新店舗 ガラス越しに作業見学
青森県弘前市駅前町の食品市場「虹のマート」内で約70年間営業する青果店「いした」が1日、同市場に「手作り漬物 おみおつけ」をオープンした。ガラス張りのブースを設け、漬物作りの工程を見られるのが特徴。3代目社長の石田康一さん(50)は、新店舗を昔ながらの味との出会いの場にしたい考えで「津軽の文化を次の世代へ伝えていきたい」と意気込む。 いしたは同市場開業の翌年の1957年に開店。漬物の製造販売は40年以上前から手がけている。近年、市場内にコーヒー店や花屋などが相次ぎ出店したのを機に若者や親子連れなど新規客が増え、いしたの漬物もコロナ禍前の2倍近く売れるようになった。石田さんは「勢いに乗り、虹のマートをもっと発展させる力になりたい」と漬物部門の独立店舗化を決めた。 店では代々受け継いできたレシピで年間20種類以上の漬物を製造する。定番の品は大根のしょうゆ漬けやニシン漬けで、今の季節は赤カブの千枚漬けやキクイモ漬けも人気だ。 初日は若手の職人2人が野菜のカットや漬け込み、袋詰めなどを手際よくこなしていた。中が見えるブースは、食品衛生法の改正でより高度な衛生管理が求められるようになったのを受け、製造工程を見せて客に安心感を持ってもらうのが狙いという。 石田さんは「漬物用野菜の売れ行きが年々落ち、漬物作りの文化が衰退してきている」と懸念しながらも「若いお客さんが漬物を好んで買うようになってきた。私たちも頑張って本当の味を伝えていかなくては」と語った。