〈独占・野田佳彦元首相〉もう“立憲共産党”とは呼ばせない「中道、そしてやや右寄りのゾーンを取り込む」「裏金や世襲議員の跋扈といった古い政治のドブさらいをします」
中道からやや右寄りのゾーンを取り込む
たかまつ 枝野(幸男)さん、泉(健太)さんが代表を務められたときは、何がまずかったと思いますか。 野田 人の課題を私が言うのも…おふたりともそれぞれの立場で頑張られたと思いますよ。ただ、これから政権を取りに行こうとするときに、中道からやや左とのお付き合いが強すぎるという偏ったイメージができあがってしまいました。 しかし、政権交代の機運が高まった今、本来は自民党を支持していたけど離れていった保守層はかなりいるので、その人たちに届くようなメッセージを送りたい。つまり、中道から右寄りの人たちを視野に入れて、政権を取りに行くのが基本戦略です。現在は枝野さんも泉さんも同じ考えだと思いますが、私の持ち味を生かせるのは、中道、そしてやや右寄りのゾーンなんですよ。 たかまつ 政権交代を目指すうえで、野党共闘や政策協定はどう考えていますか。 野田 それは選挙が終わってから。 たかまつ 政策協定を結び、選挙のときに有権者に判断してもらうということではしないのですか? 野田 各党は党勢拡大のために自分たちの政策を強く訴えるはずです。ただ、政治改革については野党の考えはほぼ一致していますし、教育無償化、選択的夫婦別姓など重なる政策もあります。 だから政策協定というより、選挙結果が出た後で、それぞれの議席に応じ政権内で一緒にこういうテーマをやりましょうとか、あるいは閣外で協力をいただくとか、話し合いによっていろいろなバリエーションが出てきます。 それでも、選挙区調整はできる限りやれるように、対話を欠かさない関係を構築しておくことが基本じゃないでしょうか。総選挙で自民党・公明党を過半数割れに追い込むのが我々の基本戦略ですから。
“立憲共産党”批判に思うこと
たかまつ 自民党は「立憲共産党」と批判しています。政策協定とはいわずとも、有権者も共産党との距離を知りたいと思いますし、維新との距離も気になりますね。 野田 常に対話できる関係ですよ、どの党とも。野党同士の対立は自民党を喜ばせるだけだし、反対に我々が対話している姿は、彼らには脅威なんですね。常に対話を続けた結果、一緒の政権になる党があるかもしれないし、あるいは選挙区調整だけで、特定の法案を後押ししてくれる関係だけに終わるかもしれない。 立憲は野党第1党として、包容力のある党にしていかなければなりません。現在、自民党の一強を許しているのは「多弱」です。この「多弱」をまとめて大きな塊にしていくのが我々の役目、と考えています。 たかまつ 今回の立憲の代表選では消費税の減税を口にする人もいますが、野田さんはどうですか。 野田 低所得者の人には、払った消費税を還付する給付付き税額控除がスタートラインだと思います。財務大臣、内閣総理大臣を経験した立場からすると、財政が厳しいときの減税には慎重にならざるを得ません。 将来的な私のビジョンは、教育、医療、介護、障がい者福祉、子育て支援などのベーシックサービスには消費税を充て、それによって社会的安心を確保することなので、消費税ゼロ案には疑問があります。 たかまつ 消費税を維持することが、逆に安心感に繋がると。でも現実には、物価高に苦しんでいる人はたくさんいます。 野田 消費税については還付。それとは別に他の給付で支援することも考えられます。例えば金融所得課税強化策などで財源を作り、困っている人に給付することも一つの案。所得再分配はしっかりやったほうがいいと思います。 たかまつ 最後になりますが、政権交代の意気込みをお聞かせください。 野田 裏金がまかりとおり、世襲議員が跳梁跋扈するような古い政治のドブさらいをし、膿を出し切るその先頭に立ちたいと思っています。応援よろしくお願いします。 取材・文/たかまつなな 笑下村塾
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