「窪田正孝の真価が惜しみなく発揮される」秋ドラマ最注目『宙わたる教室』監督が明かす制作の裏側と見どころ
藤竹が生徒たちの一部になっていく
もちろん、藤竹の変化と共に、周囲の生徒たちも変わっていくことも見所となっている。 「後半になると口癖とかが、皆同じになってきたり、互いに感情移入し合ったりして科学部が一つの生き物になっていくんです。もちろん、その中心に藤竹がいるわけで、岳人、佳純、アンジェラ、長嶺のみんなが藤竹と一体化してどんどん進化していく。それが第1話で語られた藤竹の“実験”だったりするわけですが、果たしてうまくいくのか。更に終盤になると、外の世界にまで物語が広がってスケールアップしていきます」(一色氏) 「夜の学校の片隅で生まれた科学部が、ちょっとだけ世界と直面して、そこでまた壁があり、違ったドラマが生まれて、藤竹も自分自身の知らなかった部分や弱い部分に直面する。何かを諦めようとしていた生徒たちが藤竹との出会いを通して変化し、藤竹もまた生徒たちによって変化する。お互いに影響を与え合って、無限の可能性に向かって歩みだしてゆく――。そんな彼らの姿を見て、自分も頑張ろうと思ってもらえるような作品にしたいと思っています」(吉川氏) 「希望を描く」と宣言してスタートしたという『宙わたる教室』。改めてこのドラマに込めた思いについて吉川氏はこう語ってくれた。 「『宙わたる教室』は、人は他者と出会い、時に衝突しながらも、そこから何かしらの学びを得て、少しづつ変わっていくことができる。一瞬にして人生が開けるわけではないかもしれないけど、まず一歩を踏み出せば、いろいろな可能性が開けてゆくという希望を少しでも届けられる作品になっているのではないかと思います」 ◇続くインタビュー第3回では、実験再現の最大の「功労者」ともいえる、第6話監督兼チーフ助監督の山下和徳氏の苦労話に迫ります。 ドラマ10「宙わたる教室」 NHK総合 毎週火曜 夜10:00~10:45 (再)NHK総合 毎週金曜 夜0:35~1:20(木曜深夜) Prime VideoでもNHK放送の翌週水曜0:00に最新話を配信
田幸 和歌子(フリーランスライター)