「札幌ドーム」と「日ハム新球場」の残酷な明暗 ネーミングライツの応募もなく苦戦が続く
2003年、小泉純一郎内閣の「骨太の改革」の一環として「指定管理者制度」が導入された。従来は公施設の管理業務は、地方公共団体が出資する法人や公共的団体、第3セクターなどに限定されていたが、小泉改革によって、株式会社などの営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなど「法人その他の団体」に包括的に代行させることができるようになった。 プロ野球でこの指定管理者制度を最初に活用したのが千葉ロッテマリーンズだった。本拠地の「千葉マリンスタジアム(現ZOZOマリンスタジアム)」は、当初第3セクターが指定管理者になり、マリーンズは球場使用料を支払っていたが、2006年に球団が指定管理者になった。
「指定管理者」は、一般的には地方公共団体から指定管理者が委託料を受け取って管理、運営を任されるが、マリーンズの場合、球場の使用権だけでなく施設維持管理・受付・貸出業務・公演なども含めた契約になっている。マリーンズは試合興行のほか、球場内での飲食、物販、広告看板の販売など包括的なビジネスができるようになり、経営状況は大幅に改善された。 MLBでは市や州が球場を建設してプロ野球チームに無償、あるいは低額で貸与してビジネスをさせ、町の活性化や税収増につなげるビジネスが一般化している。ニューヨーク・ヤンキースもニューヨーク市が建てたヤンキースタジアムを本拠地にしているが、マリーンズの場合、それに近い形だと言えよう。
マリーンズに倣って多くの球団が、本拠地球場を「借りて使う球場」から「自前の球場」にするよう球場を所有する公共団体に働きかけるようになった。本拠地球場と球団との関係は、個々に違っているが、ただ高い使用料を払うだけの「大家と店子」の関係のままの球団は次第に少なくなっていった。 ■第3セクターが指定管理者の札幌ドーム しかし札幌ドームは、依然として市や地元財界が出資する第3セクターの株式会社札幌ドームが指定管理者だ。ファイターズは、再三、指定管理者にするようドーム側と交渉をしたが、はねつけられてきた。