アウトドアショップ「エルク」が案内!山梨百名山の楽しみ方|#08 地元に愛される信仰の山
絶景の山頂へ
三つ目の滝「錦糸の滝」を越えていけば、登山道は沢沿いから離れ、急登区間が始まります。急登もきれいにつづら折りに整備され、きつさを感じさせません。 じつはこの日、二座目(篠井山の前に十枚山に登っていました)でしたが、楽に登らせていただきました。地元のみなさまには感謝が尽きません。 植林地の急登を越え、ブナの多い尾根に乗れば、山頂までもうひとふん張り。神社への道を示す道標が出てきますが、まずは山頂(南峰)をふみましょう。 山梨百名山の山頂標識があるこの場所が、篠井山の山頂です。まず目に入るのは、雄大に裾野を広げる富士山でしょう。 篠井山からの角度だと、向かって右側に宝永山(富士山の側火山)を見ることができます。山梨の山の多くは富士山の北側からの景色なので、久しぶりに宝永山も見ることができました。 右手に目をやると、おなじ山梨百名山の白鳥山や、静岡の愛鷹山などの山々も。さらに奥には駿河湾、伊豆半島などが見渡せました。おもてなしいっぱいの道で感動していたところに、山頂では絶景のご褒美まで。最高の里山ではありませんか。
人を繋ぐ山
冒頭に触れた、信仰の対象として南部町の方たちにより建てられた祠は、南峰から少し離れた北峰に位置しています。今回は、山頂標識で写真を撮るよりも優先したい目的があります。それは大きな木材などを運んだ思い出の場所、北峰のお堂を再訪すること。という訳で、南峰から北峰側へ。5分ほど下ると北峰に到着しました。 資材を運んだときに比べ、立派な祠がそこに建っており、地元の方たちが望んだ場所になっていました。篠井大明神を祭っている祠で、今回の登山の無事と山梨百名山チャレンジの完登を祈願。そして登らせていただいた感謝を述べさせていただきました。 私自身、南部町の人間ではないですが、ここまで地元の方に愛され守られたこの場所を登らせていただければ、手を合わさずにはいられませんでした。 北峰は樹林帯の中で、展望はありませんでした。しかし数百年前は鳥居、籠堂、お寺などが存在し、北峰からも霊峰・富士山を仰ぎ見ていたそうです。そこで「篠井山を守る会」は、北峰の満願寺跡のある北側へ少し下りた場所で伐採許可をとり、2021年に北峰からの眺望も復活させました。 いまもなお昔からの信仰を継承し、地元の人たちによって山と人々を繋いでいる篠井山。山梨百名山のなかでも里山の美しさや文化、そして人の温もりを感じることができる屈指の名峰でした。 12月は山梨百名山チャレンジ企画の最終月。 あえて残しておいたとっておきの山や、まだ登ったことのない山まで、最後の12月とはいえ楽しい山行が続きそうです。終わりに近づく寂しさもありますが、最後まで無事に登れるように頑張ります! 次回のvol。9もお楽しみに! エルクスタッフ 綾井瞭 北岳の山小屋で勤務後、山梨の山が好きで移住し、エルクに入社し7年。登山、トレイルランニング、スキーと広く山を楽しんでいたが、ヒザを壊してからは山梨県の山を改めて登り始める。山梨百名山チャレンジ企画の担当であり、山梨県の山を登って魅力を発信することをモットーに山登りを続けている。 エルクブログ「山梨百名山チャレンジ」はこちらから!
ランドネ編集部