一匹おおかみUBSラム氏、再び逆張り-中国不動産セクターに強気
(ブルームバーグ): UBSグループのアナリスト、ジョン・ラム氏は、中国の不動産セクターに関しては一匹おおかみだ。
中国・香港不動産調査責任者のラム氏は2021年1月、中国の不動産開発大手、中国恒大集団の投資判断を「売り」に引き下げ、市場に衝撃を与えた。その11カ月後、恒大はデフォルト(債務不履行)に陥り、中国不動産危機の象徴となった。
同氏は今、再び逆張りし、多くのアナリストがまだ底を打っていないと考えている不動産市場の漸進的な回復を予想。香港でのインタビューで、「3年にわたり弱気姿勢だったが、政府支援を踏まえ、初めて中国不動産セクターについてよりポジティブになりつつある」と述べた。
ラム氏は、来年のどこかで住宅需給が過去の平均水準に戻り、主要21都市に大規模なポートフォリオを持つデベロッパーの株価が回復する公算が大きいと見込んでいる。今年1月に龍湖集団を含む数社の投資判断を「買い」に引き上げた。
ラム氏(38)は21年に恒大に対して用いた手法と同様に、詳細なデータ分析と自身の直感を組み合わせて、中国の住宅セクターに型破りな取引を仕掛けようとしている。恒大に関する21年当時の短いリポートを振り返り、「何かがおかしいと直感した」と語った。
恒大への投資判断と同様に、不動産市場回復に期待する同氏のスタンスは大胆だ。中国の住宅販売は3月も不振が続き、前年同月比での住宅価格下落率は2月より大きくなった。
中国経済に占める不動産セクターの割合は26年までに16%と、危機前のピークの24%から縮小するとブルームバーグ・エコノミクス(BE)は予測。その過程で約500万人の雇用が失われるか、削減されるとブルームバーグ・インテリジェンス(BI)はみている。
ラム氏が21年に抱いた恒大に対する懸念は、ほどなくして現実のものとなった。同社の株価は売買が停止されるまでに90%余り下落。同社はデフォルトし、他のデベロッパーにも危機が波及した。