ホンダ・日産の統合協議、部品会社間の再編不可避か…EV普及でさらなる合理化も
ホンダと日産自動車の経営統合に向けた協議は、自動車大手に部品を供給する取引先にも大きな影響を及ぼす。統合の効果を高めるためには調達の効率化が欠かせず、部品会社間の再編が避けられないとみられているためだ。日産が筆頭株主の三菱自動車を加えた3社の取引先は国内だけで計3万社近くあり、最適解を見つけるのは容易ではない。(奈良橋大輔) 【図解】ホンダと日産の比較表
日産系の大手部品会社幹部は20日、統合協議への懸念を隠さなかった。日産は同日、取引先向けに現在の状況を説明し、引き続き協力を求めたという。
日本の自動車業界は完成車メーカーを頂点に親密な部品会社が連なるピラミッド型の多重構造を構築している。東京商工リサーチの12月の調査によると、販売先などを含めた取引先はホンダが1万5242社、三菱自を含む日産側が1万3283社とすそ野が広い。このうち約9000社は部品会社が大半の製造業だ。
統合が実現した場合、部品を共通化すれば大量生産によって製造コストは低減し、量産効果を期待できる。ただ、両社は現状では同じ部品であっても「ケイレツ」と呼ばれる別々の親密先が製造しているケースが多い。統合効果を最大化するには、重複の解消は避けて通れない。
大手金融機関幹部は「相当の人たちが犠牲を強いられるだろう」と危惧する。
「イーアクスル」供給網の再考、焦点に
電気自動車(EV)の普及が進めば、こうした合理化の流れは一段の加速が予想される。複雑な構造を持つエンジンを搭載するガソリン車は、1台あたりの部品数が3万点に及ぶとされる。対して、エンジンがないEVは2万点程度で済むためだ。
中でも、EVに欠かせない電力を制御するインバーターとモーターなどを一体化した基幹装置「イーアクスル」の供給網の再考が焦点になる。
ホンダは、日立製作所とホンダ傘下の部品メーカー4社が2021年に設立した自動車部品大手の日立アステモから供給を受ける。ホンダは昨年、アステモへの出資比率を引き上げるなど関与を強めている。