栗原恵×中山俊樹対談「バランスよく成り立っているチームが最終的に勝つことが多い」
【新企画】SDGs HEADLINE〈シリーズ:未来トーク〉
2015年に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、目標達成期限の2030年まで折り返し地点を過ぎた。持続可能な未来へ向けた取り組みや、目標達成のヒントとなる話題を各界の著名人とビジネスパーソンが語り合う「シリーズ:未来トーク」。 【写真】株式会社ミライト・ワンのロゴの前にて記念の2ショット 今回は目標8「働きがいも経済成長も」と17「パートナーシップで目標を達成しよう」に関わるテーマ「チームワーク」について。バレーボール全日本代表として活躍し、2019年に現役引退。現在はタレントとして活動する栗原恵氏と、通信インフラ設備の構築を中心に事業を展開し、災害発生時には応急復旧工事を行う株式会社ミライト・ワン代表取締役社長の中山俊樹氏が語る。
エースがいれば勝てるわけではない
中山俊樹氏(以下、中山)「バレーボールの日本代表として世界で活躍された栗原さんは、チームワークについてどのようにお考えですか?」 栗原恵氏(以下、栗原)「バレーボールは強いエースがいたら絶対勝てるかというとそんなことはなく、バランスよく成り立っているチームが最終的に勝つことが多いと感じています。今の日本代表チームがまさにそれで、海外の選手との体格差を技術力やコンビバレーなどのチームワークで埋めています。私自身、長く選手でいられたのはチームメイトに助けてもらったことが大きいですね」 中山「確かに、チームはひとりだけ強くても、というのはありますね。仕事もチームで行うので、栗原さんがおっしゃるように、ひとりではできないことを助け合いながらそれぞれが役割を持って進めることが大きいと思います。私も数十年仕事をしてきて、20代、30代、40代それぞれに忘れられない仕事があります。そうした仕事を一緒にやり遂げた中でも忘れられないチームは、自分を育ててくれたり、自分に変化を与えてくれたりしたチームですね。その時のメンバーとは今も良い関係で付き合いが続いていています」
プレッシャーを楽しみに変える
中山「スポーツにはプレッシャーがかかる場面もあると思いますが、その点はいかがですか?」 栗原「私自身はプレッシャーを楽しみに変えようといつも考えていました。試合に向けてできることはすべてやったと思っても、いざとなると “こうしておけば良かった”“もっと練習しておけば良かった” という不安は常に湧き起こって……。でも、その不安が向上心につながることも分かっているので、そんな自分を客観的に見て、プレッシャーさえ楽しんでしまおうと考えたのです。ストイックになりすぎると楽しめなくなってしまうので、あえて気軽に考えることも時には必要だと思いました。中山社長はどうですか?」 中山「業績目標やプロジェクトの締め切りなど日々プレッシャーはありますね。そんな中で私が大切にしていることは二つあります。まずはゴールに向かい続けることや目の前のことから逃げ出さないこと。もう一つは追い詰められないこと。追い詰められたと思ったら、いったん心をオフにする。別のことに打ち込んで気持ちを切り替える。私の場合は休日のテニス、年に数回の山登りがそれに当たります。その時間は仕事のことを全部忘れて、テニスや山に集中する。そうやって日々のプレッシャーとうまく付き合っています」 栗原「あえて別のことに没頭する時間を作っているんですね。私もスランプに陥った時は視野が狭くなってしまって、基本的なことに気づけなくなることがありました。そんな時は一度バレーボールから離れて別のことをするようにしていました。先ほど “楽しむ” という言葉を使いましたが、実は楽しめるようになったのは引退を見据えた最後の1年半くらい。それまでは “楽しんでいたら試合になんて勝てない” と思い込んでいましたね」 中山「世界を相手に戦っていた栗原さんだからこその重みある言葉ですね」