なぜ従順で真面目な子が不登校に?子どもを追い詰める「放課後も塾通い」のストレス
不登校の児童数は年々増加し続けています。文部科学省の発表では、令和4年度の小中学校における不登校児童生徒数は過去最多の29万9000人に達しました。不登校はもはやだれにとっても他人事ではない問題です。 【漫画】「学校行くのやめよう!」不登校児の親が決心した理由 今回は、2月21日に開催された認定NPO法人3keys(スリーキーズ)主催の第25回 Child Issue Seminar「不登校追跡調査から見えたもの~その時に子どもたちは何を思ったのか」において、社会福祉士・研究者として不登校支援に携わる福岡県立大学の原田直樹さん、そして3keys代表理事の森山誉恵さんがお話された「10代向け支援サービス検索・相談サイト「Mex(ミークス)」に寄せられた子どもたちの悩み」についてご紹介します。
従順で真面目な子が不登校になるキッカケ
【Mex(ミークス)に寄せられた悩み1】 いろいろ考えて夜に眠れなくなり、朝も起きれないという悪循環が続いています。そのせいで、ネットで動画を見たりゲームをしたりと、現実逃避してしまう時間が増えました。 【Mex(ミークス)に寄せられた悩み2】 あまり自分の人生に興味がなく、何かの事故で死なないかなとか、病気にならないかなと考えてしまいます。親には自分の進路を勝手に決められ、塾に行かされます。 【森山】こちらの悩みには色々な思いが凝縮されていると思います。子どもの権利条約では、遊ぶ権利、表現の自由、集会の自由も定められていますが、日本の子どもたちは放課後や学校外では基本的に塾に行っていて、自分を表現したり集まることはなかなか保証されていないんじゃないかと思います。放課後の在り方がどのように不登校に関係しているのか、という切り口で取り上げさせていただきたいです。 【原田】学校に行けたり、行けなかったりしてる子たちや、勉強についていけない子どもには、45分間の授業を息を止めて水の中で過ごしているようだと言った子がいます。そんな子たちにとっての放課後は、つかの間のほっとできる時間であったりします。あるいは学校に行けない子どもにとっても「もう今は学校はやってないんだ」と思うと安心できる時間だったりもする。 そんな時間に元気よく過ごしていると、「そんなに元気だったら学校行けばいいんじゃないか」と言われてしまうことがあります。でも、こんなしんどい言葉はないですよね。元気だから遊んでるというより、"やっと元気になれる時間"になったから遊んでるんです。 ただ、いまの子どもたちは放課後も非常に忙しいです。親の期待に沿うように、勉強も習い事も頑張って、でもある日そこに限界を感じてしまったり、「私はもうこの道は無理だな」と思ったときに心がぽきっと折れて、学校にも行けなくなってしまう。真面目な子どもが不登校になってしまうケースも、実は少なくありません。 【森山】放課後も土日も勉強して、大人でいうと残業に休日出勤で過労死ラインで働いているような状況で、いつ遊んだり休んだり、子どもらしい時間を過ごすのか。こういった状況が子どもたちの「学校に行きたくない」という思いに繋がっているのかなと思いました。