なぜ従順で真面目な子が不登校に?子どもを追い詰める「放課後も塾通い」のストレス
ゲームは超A級の依存物質
【森山】「ゲームや睡眠不足」と「不登校」はよく関連付けられている印象があります。不登校の子どもがゲームをすることはそのままにしていいのでしょうか? 【原田】本当にすることがなくて暇だから、ゲームするしかないっていう不登校の子どもさんは結構いるんです。ですが、オンラインゲームでは、ゲーム内のメンバーには、「僕が助けてあげるよ!」とすごく雄弁に語ったりするんですよ。そういった体験の場になっていたり、ネットで繋がっている人とコミュニケーションが取れたりというプラスの側面もあるにはあるんです。 ただ、依存症の専門の医師によれば、「ゲームは子どもにとって超A級の依存物質」と言われます。また、「毎日1時間以上ゲームをしていると、いくら勉強しても成績は下がる」という研究データもあります。 やはり大事になってくるのは、使い方。特に時間という軸を一つ大事にした使い方が重要ではないかと思います。「おとなしくなるから、一日中ゲームしといていい」というのは、ある種、虐待と同じです。なので、きちんと子どもが管理ができるように、親と一緒に調整をしていくべきだと思います。
不登校の子どもたちにとって「朝」はつらい時間
【原田】また、睡眠に関しては、特に不登校の子どもは朝起きれない子が多いですね。夜遅くまで動画を見ていて、夜ふかしをして、だから朝起きれないっていう事がよくあります。 ですが、朝の時間は不登校の子どもたちにとってはものすごくしんどい時間。寝不足というだけではなく、学校に行く・行かないを毎日突きつけられる非常にしんどい時間なんです。その時に「僕は夜ふかししたから眠たいんだよ」と理由を付けられると、少し気持ちが楽になりますよね。 ですから「そんなに夜ふかしするんだったら、1日徹夜で起きて!」なんていう乱暴な話を聞くことがありますが、そんな問題では決してないと私は思います。ネットやゲームをしていたから夜ふかしして、朝起きれないという単純な問題ではないんです。ただ、少なからず、起立性調節障害で本当に朝起きられないということも増えてはいます。 【森山】子どもにとって、ゲームや動画が唯一の休む時間になっているのに、それも奪ってしまうと子どもたちをさらに追い詰めてしまう。一方で親や教員が管理するのもしんどい、というのが今の日本の現状なのかなと思っていますし、もっと教員と親任せにせずにやっていけるといいなと感じます。
原田直樹(福岡県立大学看護学部准教授),森山誉恵(認定NPO法人3keys代表理事)