ハワイ初のシルク・ドゥ・ソレイユ常設公演「アウアナ」。ワールドプレミアまでの軌跡
1984年に、カナダ・ケベックで誕生したシルク・ドゥ・ソレイユ。オリンピックのメダリストなど世界トップレベルの実力を持つ、ダンサーやアスリート、大道芸人と、演出家や美術家らによるエンタテイメント集団として知られている。 【画像】アウトリガー・ワイキキ・ビーチコマー・ホテルとシルク・ドゥ・ソレイユ・エンターテインメント・グループが提携して実現となった 今年の春、「ハワイ初のシルク・ドゥ・ソレイユ常設公演が決定」というニュースが飛び込んできた。そして12月17日、会場となるアウトリガー・ワイキキ・ビーチコマー・ホテルでついにワールドプレミアが開催され、レッドカーペットには豪華ゲストらが登場した。 この構想は2年をかけて完成させたもの。今年5月、工事中だった劇場にヘルメットをかぶって取材したときの様子が下の左の写真となる。ここはかつてディナーを楽しみながらショーを楽しめる「マジック・オブ・ポリネシア」が行なわれていた会場だが、まったく新しい劇場へと工事が進められていた。完成したアウトリガー・シアターは784席を有し、観客が一体感を味わえる劇場空間となった。 VIPを集め、ショーの正式名称が発表されたのも5月の同日だった。最初に提携先のアウトリガー・ホスピタリティ・グループ社長兼最高経営責任者、プロデューサーやディレクターらハワイのクリエイティブチームがあいさつを行ない、ライブパフォーマンスの一部が披露された。その後、ショーの名称が「アウアナ」と発表された。 「アウアナ」は、ハワイ語で、「新たな旅に出る」「さまよう」「歩き慣れた道を外れる」という意味を持つ。チームにはハワイのコミュニティの声を反映させるため、コスチューム・デザイナーに、ハワイの神話に慣れ親しみ、ハワイの自然のインスピレーションを受けてパターンを作る著名デザイナーのマナオラ・ヤップ氏、ハワイを代表するクム・フラの一人であるヒヴァ・ヴァーン氏なども起用されている。 12月17日ワールドプレミアのレッドカーペットイベントには、チームやキャストのほか、ハワイ州知事、「ザ・ロック」俳優のドウェイン・ジョンソンさん、東京オリンピックのサーフィン金メダリストのカリッサ・ムーアさん、人気ドラマ「HAWAII FIVE-0」俳優、映画「モアナ2」声優らが続々と登場し、場を沸かせた。 満席の会場でショーがスタートした。構成は、フラ、音楽、コメディ、そしてシルク・ドゥ・ソレイユ独特のアクロバットなどのパフォーマンスを盛り込んだ斬新なストーリー展開となっている。記者会見で「ハワイという土地とそこに暮らす人々を尊重する」ことを大事にしたいと言っていたとおり、ハワイの島々の物語と独自の文化を、息を呑むようなアクロバットによって、革新的な映像技術を用いて見事に表現していた。 きめ細かな監修でハワイの物語を描写しながら、スリリングなシーンあり、観客も巻き込む演出あり、客席も一体化させる仕掛けあり、あっという間の90分という印象だった。 ショーに魅了された観客はフィナーレでスタンディングオベーションを送り、しばらくの間、拍手が鳴りやまなかった。Webサイトでは日本語によるストーリーの解説も記載されているので、まずはチェックすると分かりやすい。見どころは、パフォーマンスはもちろんだが、衣装、音楽、照明、舞台美術にも楽しめた。 ハワイが兼ね備えるいくつもの表情を表現したシルク・ドゥ・ソレイユ「アウアナ」は、ワイキキのエンタテイメントに新風を吹き込む最も旬なショーだと言えるだろう。 ワイキキ中心部に位置するアウトリガー・シアターで、水曜から日曜まで、17時30分と20時30分の1日2回公演。チケットは69ドル~(税・手数料別)でハワイ在住者は30%の在住者割引もある。
トラベル Watch,大澤陽子