「方位」+「村」の名字には「西村」さんが多いと判明。理由は、お米が鍵でした。
西村(にしむら)
「西村」という名字は方位に由来しています。つまり、中心となる集落から見て西の方にある村という意味で、ルーツの地は全国各地にあります。 こうした「方位」+「村」の名字には、他にも「東村」「南村」「北村」とありますが、この中では「西村」が圧倒的に多くなっています。次いで「北村」「東村」「南村」の順となっています。これにも理由があるのです。 中世の武士は、敵から守りやすい谷間に住むことを好みました。日本は山が多いため谷間は各地にあります。そうした谷間の中でも、東向きに開いた谷間を好んだのです。 というのも、経済力を高めるためには米をたくさん収穫する必要があります。谷間なので水はありますから、あとは日当たりです東に開いている谷間が最も日当たりがよく米がよく実りますから、こうした東に開いた谷から優先的に住んだのです。 武士は谷間の入口で防御を固め、少し入った場所に屋敷を構えました。そして、農民たちの多くはその西側に村を作って住んだのです。 現在「西村」は、滋賀県を中心に近畿地方に多く、西日本ではほとんどの府県で100位以内に入っています。
森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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