児童虐待、減る気配なし…23年度は過去最多の3029件認定 通告・相談も467件増える 鹿児島県
鹿児島県は30日、県内の4児童相談所(中央、北部、大隅、大島)と市町村が2023年度に認定した児童虐待件数が前年度より206件多い3029件で、12年連続で過去最多を更新したと明らかにした。心理的虐待やネグレクト(育児放棄)の増加が目立つ。通告・相談件数も467件増の4504件で、11年連続の増加となった。 【写真】子ども虐待通告・相談と認定件数の推移を分かりやすくまとめたグラフ
オンラインであった県の子ども虐待防止ネットワーク会議で報告された。児相が認定したのは全体の約9割に当たる2655件。23年4月にさつま町に開設された北部児相は317件だった。 種別では、心理的虐待が1891件(前年度比101件増)で最も多く、全体の71%を占めた。続いて身体的虐待468件(47件増)、ネグレクト266件(69件増)、性的虐待30件(15件増)だった。認定後の対応は、見守り・助言が2341件で87%を占めた。 主な虐待者は実父(1248件)と実母(1020件)で合わせて85%に上った。被害を受けたのは未就学児が965件、小学生が932件、中学生以上が758件だった。障害児への虐待は399件あった。 4児相に通告・相談された3626件のうち、警察からが2245件で最多。学校等349件、近隣知人317件と続いた。中央児相によると、子どもの前で家族に暴力を振るう心理的虐待「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」の通告が多いという。
中央児相の権現一彦相談部長は「児童虐待に対する関心の高まりや、児相対応ダイヤル『189』(いちはやく)など通告しやすい体制整備で相談が増えている。関係機関との連携が重要になる」と説明した。会議では、2019年に起きた出水市4歳女児死亡事案の検証報告書に対する取り組み状況も報告された。
南日本新聞 | 鹿児島