TikTok、アプリ利用禁止の新法施行の一時停止を裁判所に申し立て
(ブルームバーグ): 中国バイトダンス(字節跳動)傘下の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は9日、米国で同アプリを事実上禁止する新法の施行を、連邦最高裁判所による審査まで、一時停止するよう裁判所に申し立てた。
米連邦高裁は6日、新法が合衆国憲法修正第1条で保障された言論の自由を侵害しないとの判断を下し、同法を違憲とするTikTok側の主張を退けた。また、中国政府がこのアプリを使って米国民に関する情報を収集したり、プロパガンダを広めたりする可能性があるという政府の懸念を正当だとした。
米国政府は裁判所に対し、TikTokの申し立てを速やかに却下するよう求めている。
新法は、トランプ次期大統領の就任式前日の1月19日に施行される予定だ。施行を一時停止することになれば、次期政権に、この問題を巡る米政府としての立場を決定する時間を与えることにもなる。
トランプ氏は、1期目の任期中、TikTokへの規制を強化しようとしていたが、選挙期間中に若年層の支持獲得のため、禁止措置に反対する姿勢に転じた。
TikTok側は、アプリが1カ月間だけでも閉鎖された場合、米国の中小企業は10億ドル(約1500億円)以上の収益を失うと推定している。
同社は訴状で、「米国を代表する言論プラットフォーム」であるTikTokを閉鎖すれば、ユーザーを沈黙させることによる「回復不能な損害」が生じると警告した。また、裁判所への申し立てによると、禁止措置は広告主の獲得や人材の採用を困難にし、TikTokの事業に壊滅的な打撃を与えることになるという。同社は、アプリが1カ月間禁止された場合、来年の世界的な広告収入目標が29%減少すると推計した。
原題:TikTok Seeks to Pause US Ban Pending Supreme Court Review (2)(抜粋)
--取材協力:Greg Stohr.
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Sabrina Willmer