日本選手権でパリへの切符をつかむため、学生個人で得た「9秒97」の手応え 東洋大学・柳田大輝、スタブロの微調整が奏功
日本選手権までに取り組むべきことが明確に
大学界を代表するトップスプリンターの柳田は今シーズン、4月末のルイジアナ州立大学招待で自己ベストに並ぶ10秒02をマーク。5月上旬にはバハマで開かれた世界リレーに日本代表として出走し、5月19日のセイコーゴールデングランプリ(東京・国立競技場)で優勝。その後はダイヤモンドリーグ(DL)に参戦と、レース続きの忙しい日々を送った。 DLを終えてからは、時差ぼけが治るまで休んだり、治療したりしながら、日本選手権を見据えてしっかりと練習を積んできた。「ウェートトレーニングができていなかったので、次の日に筋肉痛でバキバキになるぐらい、冬にやるような回数を2、3回やってきました。それで走りの力強さが、シーズンインのときぐらいにまで戻ってきた感覚がありました」。昨年のこの時期と比べたら、筋肉量で2kgほど増えているといい、レベルアップを実感している。 パリオリンピックの参加標準記録は10秒00。国内勢ではサニブラウン・ハキーム(東レ)が5月末に9秒99をマークし、代表に内定。残る2枠を日本選手権で争う。柳田は言う。「僕が代表になるためには、決められた順位を取るしかない。タイムを出せるに越したことはないですけど、まずは2番に入ることが一番重要かなと思います」 大一番に向け、学生個人で「これをすればいい」ということが明確になった。パリへの切符をつかむため、あとは周りに惑わされず、自分の走りだけに集中する。
井上翔太