米2州、培養肉の製造・販売禁止 「神が肉つくる」と批判も
【ワシントン共同】動物の細胞を増やしてつくった「培養肉」は肉なのか―。米国で培養肉を巡る論争が起きている。米南部のフロリダ州とアラバマ州は29日までに、培養肉の製造と販売を禁止した。培養肉と競合する畜産農家を保護する狙いで、禁止法案に賛成した議員からは「肉は神によってつくられるものだ」と批判の声も上がる。 「実験室育ちの肉はよそに持って行け」。フロリダ州のデサンティス知事(共和党)は今月1日、禁止法案への署名に際し、語気を強めた。農家保護の必要性を訴え「われわれは肉を守る」とも強調。フロリダ州議会では、議員から「培養肉は肉ではない」とし、食べることによる健康被害への懸念も表明された。 培養肉は米国で大規模な流通には至っていないが、先端食品開発を手がける「グッドミート」などが許可を受けて販売拡大を目指している。培養肉は増える食肉需要への対応だけでなく、畜産よりも温室効果ガスの排出が少なく、気候変動対策としての期待もある。