静かなだけがコンフォートじゃない ブリヂストン、レグノ新モデルを発表
変化するニーズ 新たなユーザーの開拓も使命
いま、クルマ社会は大きく変化している。EVや自動運転化など、クルマの進化やボディタイプのトレンド変化で、タイヤに求められる性能も複雑化している。ユーザーも、価値観や求めるニーズなどが今まで以上に多様に変化している。 レグノを求めるユーザーも、今まではラグジュアリーなクルマで快適性を重視した層が中心だった。 だが今後は、クルマでは欧州車などツーリング志向のクルマやバッテリー電気自動車などを、そしてユーザーでは走行性能を重視する層やサステナビリティの意識が強い層へも、レグノを普及させたいと目指している。 それゆえ、エンライトンを適用することで、上質な静粛性が生み出す「空間品質」、質の高い乗り味による「走行性能」、そしてこれからのタイヤに求められる「サステナビリティ」を実現したタイヤを目指した。それがレグノGR-X IIIというわけだ。
もう静かさだけではない 現役レーサーも開発に参加
発表会では、開発を担当したPSタイヤ製品企画第1部の橋本賢人氏と、開発に参加したレーシングドライバーの立川祐路選手によるトークショーも行われた。立川選手はスーパーGTのテストのため、マレーシアからオンラインでの参加となった。 レグノのようなプレミアムコンフォートタイヤでは、乗り心地や静粛性は良くて当たり前。さらに乗り味や走行性能を向上させるために、レーシングドライバーである立川選手らが開発に参加したという。 その結果、直進性の向上やリニアな反応が得られ、それでいながらマイルドで安心感のある乗り味も得られたという。それは運転を楽にし、また同乗者も快適に感じられると立川選手は語る。 GR-X IIIの完成までには、立川選手からは幾度もダメ出しが。ブリヂストンのテストドライバーも交え、同乗走行やテストを繰り返し、何がベストかを求め続け、ようやく生まれたのがGR-X IIIだと橋本氏も苦心談を語る。 また、今までのレグノは、さまざまな技術の積み重ねだったが、このGR-X IIIは必要なものを突き詰め、要らないものを削ぎ落として作られたと橋本氏。 こうして生まれたレグノGR-X IIIは、立川選手をして「自分が履きたいと思えるタイヤ」になっているという。橋本氏は「どんなクルマでも1ランク上の質感が得られるタイヤ」であるという。 レグノGR-X IIIのサイズは、195/65R15(メーカー希望小売価格:税込2万6730円)から275/35R20(同:税込10万8350円)まで全51サイズと、きわめて多岐にわたる。2024年2月に26サイズが、3月に残り25サイズが発売され、サイズは今後も拡大予定だという。 その性能は、果たしてどのようなものか。レグノGR-X IIIの試走会も近く行われる予定なので、そのレポートはあらためてお届けしたい。
篠原政明(執筆/撮影) AUTOCAR JAPAN(編集)