伊東健人「“声優アーティスト”という枠に収まらず、新しいことにチャレンジしたい」
『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』観音坂独歩役や『ヲタクに恋は難しい』二藤宏嵩役などで人気を集める、声優・伊東健人さん。2022年には川谷絵音さんプロデュース楽曲『真夜中のラブ』で、ファン待望のアーティストデビューを果たした。3月には2ndEP『咲音』を発売し、4月14日には初となるワンマンライブを終えた伊東さんに、前後編にわたってインタビュー。アーティスト活動を始めたからこそ、変化したこととは――。 【写真を見る】声優として第一線を走りながら、アーティストとしても活躍する伊東健人
2ndEP『咲音』での“初めての経験”
TVアニメ『月が導く異世界道中 第二幕』第1クールのエンディングテーマ『My Factor』を含む6曲が収録された2ndEP『咲音』。幅広い楽曲を堪能できる1枚となっているが、伊東さん自身はどう感じているのだろうか。 「結局、未だに自分でもよく分かっていなくて(笑)。ストーリーやコンセプトを決めて作った1枚ではなく、それぞれの曲が独立しているので“○○な1枚です”と一言では説明しにくくて。デジタルリリースした『My Factor』や『戯言』、『サッドマンズランド』はそれぞれ明確に表情が違う曲たちだし、新曲の『BiT』と『Follow』も結構逆の方向に行ったなっていう感覚で。EPのタイトルが“音が咲く”と書いて『咲音』ですが、そのタイトル通り、色の違うさまざまな“音”が詰まっていると思います」
『Follow』では作詞・作曲を担当。「作詞作曲は自分の中では特別な作業ではない」と語るが、今回“初めての経験”があったという。 「結構前からできていた曲なんですが、質感としては最初のデモ状態からほとんど変わっていなくって。他のユニットでの曲や楽曲提供時には、『元から変えてください』と制作チームの方々にお伝えしながら作っていたことが多いので、あまり手が加えられず、ほとんど自分が作ったもののままっていうのは初めての経験だったかもしれません。ここまで自分の質感を生かしてもらっていると、なんかちょっとそわそわする(笑)。自分の手を離れていない感じというか、責任がまだ自分のところにある……そんな気持ちになりました」 一番苦労した曲を聞いてみると、少し悩みつつも「正直、『戯言』かな」と明かしてくれた。 「自分の中で、歌い方に対するアプローチの仕方をそれまでと変えようとしていたのが、ちょうど『戯言』の頃だったんです。自分が歌ってどうなるのか、どう歌えるのか、レコーディングに入るまでの“分からなさ”が一番ありましたし、レコーディングの仕方についてもかなり綿密に打ち合わせをして。最終的にはワンフレーズごとに少しずつ重なるサビの作りにしたんですが、やり方としてはライブ感を重視してレコーディングする方法もあって。どれが正解でどれが間違いとかがないので、歌い方の部分は一番悩みました」 その歌い方の変化も、アーティスト活動だからこそできることの一つだという。 「他のコンテンツでも歌うことが多いんですが、その中で培ったものや、ちょっと思ったことをソロ活動で増幅させているときがあって。やっぱりキャラクターを背負っていると勝手に変えるわけにはいかないので、何か気づきがあったとしてもチャレンジはしにくい。でも、ソロ活動だったらいくらでも試行錯誤ができるんです。例えば、盛り上がっていくようなサビだけれども、あえて力を抜いてみようとか。今までやっていなかったような表現を、どれだけできるか試してみたりしています」