伊東健人「“声優アーティスト”という枠に収まらず、新しいことにチャレンジしたい」
ソロアーティストデビューしたからこそ“見えたもの”
活動の中で試行錯誤し続けている伊東さんだが、2022年のアーティストデビュー後と今とで他に大きく変化したこととは? 「根っこの部分は変わっていませんが、やってみたからこそ見えてくるものって結構あったなと感じていて。『自分はこんなことができたんだ』『やっぱりこれはできないな』っていう発見もあるし、『まだまだできるんじゃないか』と思うこともたくさんある。それらは挑戦しなかったら見られなかった景色であって、一つ一つ見えてくること自体が大きな収穫だと思います。 それと、活動を続けていく中で、昔に比べると“言語化するスピード”も速くなった気がします。例えば作詞をするにしても、2年前だったら1曲書くのに1ヵ月くらいかかっていたのに、最近では2、3日でポンってできちゃったり。それは数をこなすうちに得た経験値のおかげですが、そもそも普段の生活での“アンテナの張り方”が変わったのもあると思います。気になったことがあったら、ちょっとメモしてみるようになったり。アーティスト活動の影響で、そんな風に私生活に変化が出てくるのも面白いですよね」 一方で活動を続けていく中で、「モノを作る一人としてどんな姿が正しいんだろう」と考えた時期もあったという。 「こだわることは大切だけれど、こだわりすぎたら動きが鈍くなってしまう。でも、じゃあ受け身でいればいいのかというと、それは違う。やっぱり“提案すること”は大事だと思うんですよね。それは何がなんでも自分の提案を通したいというエゴではなくて、発言することで『実際に実現可能なところはどこなのか』という話し合いをチーム内でするため。何も言わなければ、その話し合いすら生まれませんから。だからこそ、まず思いつく限りの理想を伝えるようになりました」 その中の一つとして、『戯言』と『サッドマンズランド』のシングルジャケットには、伊東さんからこだわりのリクエストをしたそう。 「この2曲のジャケットはイラストなんですが、表情や色合いにはかなりこだわって希望を伝えました。例えば、『サッドマンズランド』はもともとはもう少し苦い顔をしていたんですが、「もう少し考えが読めない表情にしてください」といった提案をさせていただいて。口角の角度や視線の方向などちょっとした表情が違うだけで、イメージがすごく変わるからこそ、細かなところもオーダーしました。逆に自分が写っているジャケットの方が、スムーズに『OKです』って言っているかもしれません(笑)」