「B’z」松本が語るアーティストの矜持「トライやチャレンジは常に必要」
「Mステ」新テーマ曲は「24年前のプレイと今の僕のプレイとの共演」
そしてもう1曲、新しい試みがなされている楽曲といえば、ボーナス・トラックとして収録されている『#1090 ~Million Dreams~』だ。 1992年に発表された『#1090 ~Thousand Dreams~』のニューバージョンで、このバージョンもまたテレビ朝日の音楽番組「ミュージックステーション」のテーマソングとして起用されている。 「これは『ミュージックステーション』の30周年に向けてお話を頂いたので、喜んでやらせて頂いたんです。今回はオリジナルのトラックも使いながら、新しくベースにトラヴィス・カールトン、ドラムにシェーン・ガラスという異色のコンビを迎えてレコーディングをして。僕のギター・トラックも、24年前のプレイと今の僕のプレイとの共演になっています」 飽くなき、果てのない、ミュージシャン/クリエイター・松本孝弘のチャレンジ・スピリット。 何がそこまで彼を突き動かすのか。
「常にトライしていかないと、なかなか変わっていけない」
「作曲家としてもギター・プレイヤーとしても、ある程度スタイルができてしまっていると思うんです、自分自身でも。だからどんな所でやるか、誰とやるか、どういう状況でやるか、ということを常にトライしていかないと、なかなか変わっていけないと思っていて。『B’z』でも稲葉(浩志)のボーカル・スタイルや歌詞も確固たるものがありますから、お互いにできあがっちゃっているふたりが同じことばかり続けていたら、ファンの人たちも飽きちゃうでしょうし。だからちょっと違う相手とかシチュエーションを取り入れることで新しいものを生み出していく……、そういうトライやチャレンジは常に必要なんです。日々の鍛錬ですか? うん、それは絶対ですね。それを怠ると、あとはただ落ちていくだけだから」 最後に、アルバム・タイトルを『enigma』に決めた理由を尋ねてみると――。 「『enigma』という楽曲のボーカル・セクションに出てくるワードは、今回のアルバム制作の中でずっと探し続けてきたテーマ的な部分なので、タイトルはこれしかないだろうな、と思いました」 そして、「言葉そのものの意味は日本語に直訳するとロマンチックじゃなくなるから、やめておきましょう」と言葉を添えて、穏やかに笑った。 (インタビュー/文・竹内美保)