富士河口湖町、20年ぶりに源泉発見で「富士山×温泉」最強PRに期待…温泉郷イメージ定着へ
富士山を望める景勝地として外国人観光客らでにぎわう山梨県富士河口湖町が、「温泉の町」を内外にアピールする。宿泊施設の大半は温泉を引いていないが、今年、新たな源泉が20年ぶりに見つかり、2026年度にも希望する宿に湯を供給する計画だ。町は「富士山とともに温泉もPRし、国際的観光地としての魅力を高めたい」としている。(富士吉田通信部 木村誠) 【写真】うっすらと雪をかぶった富士山頂
同町は古くから観光地として知られてきたが、温泉地のイメージはあまり浸透していなかった。町は神奈川県箱根町のような温泉郷を目指し、1990年代から官民で街づくりに力を入れてきた。
すでに源泉を三つ備え、河口湖畔に並ぶ34の施設に町が地下パイプで供給している。だが、町内に約800あるとされる宿泊施設のうち、独自に温泉を引いているのは一部に限られ、大半は「温泉宿」ではない。
こうしたなか、町は昨年11月に湖南岸の小立地区で掘削を開始。今年7月、地下1500メートルまで掘り進めたところ、水温38度の源泉が見つかった。町はポンプなどを整備し、すでに温泉がある施設を含め、希望する施設にタンクローリーで運ぶなどする。町水道課は「安定的に供給していきたい」としている。
町内ではグランピング施設やキャンプ場のオープンも相次いでおり、観光客数はコロナ禍後に回復。昨年は352万人と前年の4割増となった。
温泉地のPRは官民で行っており、富士急行線の河口湖駅は2020年、副駅名が「富士河口湖温泉郷」となった。町観光連盟の担当者は「富士山に温泉をくっつければ『最強』になる」と期待を込める。町内で温泉ホテルを経営する山下茂さん(81)も「外国人観光客にも注目されている今がチャンス。富士山の眺望を生かした温泉をPRし、固定客を増やすことが大切だ」と話している。