【シベリアで取材】肉球もそのまま… 解け続ける"永久凍土" 古代生物が伝える地球の危機
日テレNEWS NNN
ロシア連邦の東に位置する、サハ共和国。冬には氷点下50度にも達する極寒の地ですが、地球温暖化によって深刻な変化が起きています。数万年もの間凍っていた"永久凍土"が解け続け、ライオンやサイなどの古代生物が発見される一方で、未知のウイルスの拡散が懸念されています。また、住宅地では地盤沈下による被害も…。
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■冬には氷点下50度 東シベリア・サハ共和国
日本からおよそ1500キロ―――。NNNのカメラは7月、ロシア、東シベリアに位置するサハ共和国へと向かいました。人口約100万人で、夏を迎えていました。中心都市・ヤクーツクの市民が感じていたのは“ある異変”でした。
市民 「夏は暑くなってきました」 「昔は9月には氷点下になったけれど、今は11~12月にならないとそこまでなりません」 地球温暖化の影響が色濃く出始めているのです。冬には気温が氷点下50度に達するというサハ共和国は、日本の面積の約8倍。広大な大地のほとんどは、長年凍った状態の地盤、「永久凍土」に覆われています。 その「永久凍土」が、地球温暖化の影響で解け続けているのです。
■冷凍庫のようなトンネルを進むと…
そもそも「永久凍土」とはどのようなものなのか。ロシア科学アカデミー・永久凍土研究所の地下へと向かう階段を進みました。 東郷達郎・NNNサハ共和国 「地下への穴があります。滑りやすいから注意してくれとアドバイスがあります」 「完全に床は氷ですね」 地下15メートル。気温はすでにマイナス8度。冷凍庫の中のような寒さのトンネルを進んで行くと、研究員が足を止めました。そこにあったのが「永久凍土」です。
■表面 軽く触っただけで「ポロポロ」と
川の砂が1万2000年以上前に凍ったもので、水分が凍った部分が、キラキラと光っていました。許可を得て、触らせてもらうと…。 東郷達郎・NNNサハ共和国 「触ってみますとポロポロと落ちますけど冷たいですね。砂のように落ちます」 その5センチほど奥には、コンクリートのように硬い「永久凍土」があるといいますが、表面は乾燥して、軽く触っただけで崩れ落ちるのです。 永久凍土研究所・ムルジン研究員 「都市部の道路では地下2メートルくらいまで解けています」 「非常に急激に温暖化の影響を受けています」 取材したこの日は、気温が30度近くまで上がりました。都市部では、この50年で平均気温が3度以上上がっています。そのため「永久凍土」が解け、地盤沈下や侵食が各地で起きているというのです。