【シベリアで取材】肉球もそのまま… 解け続ける"永久凍土" 古代生物が伝える地球の危機
■4万3000年前…眠っているかのような姿で
「永久凍土」が解け、思わぬものも見つかっています。訪ねたのは、古代の動物を研究しているサハ共和国科学アカデミー マンモス研究所。「永久凍土」から貴重な動物が見つかっていました。 それは、絶滅した肉食獣、「ホラアナライオン」のオスの子どもです。 肉球もそのまま、眠っているかのような姿で4万3000年前に凍りついたものだといいます。
さらに、床にサイの骨が置かれた部屋にあったのは… サハ共和国科学アカデミー プラタポポフ主任研究員 「世界にひとつしかないサイの剥製です。レプリカじゃない。毛も本物です」 「毛がはえたサイがいました。これがその証拠です」 3万3000年前に生きていたケナガサイ。氷河期の寒さをしのぐため、現代のサイとは違い、長い毛で覆われていました。 いま、相次いで発見されている動物もいます。マイナス温度の部屋に置かれていたのは、メスの子どものマンモスです。実はこのマンモスは、10年前の2013年に日本で、世界初の一般公開がなされました。 3万9000年の時を超えて、「永久凍土」から発見されたものです。
■眠れる“未知のウイルス”よみがえるリスク
「永久凍土」が解けることで、現代に姿を見せ始めた古代の動物たち。生物の進化の解明などに役立つ一方で、未知のウイルスや危険な病原体がよみがえるリスクも出ています。 2016年には、「永久凍土」から見つかったトナカイの死骸から「炭そ菌」がよみがえり、2400頭以上のトナカイが感染。住民24人も感染する事態となったのです。
■大地ボコボコ…かつては平らなサッカー場
さらに、「永久凍土」が解け始めたことで、人々の日常生活も脅かされています。 深刻な被害が出ているのは、チュラプチャ村。放牧が盛んな地域です。永久凍土の上に広がる緑豊かなこの地も、冬は氷点下の世界になります。 でこぼこの悪路が続く村の中でも、特に激しくでこぼこになった場所は、かつては平らなサッカー場だったといいます。原因は、地表から1メートル下にある「永久凍土」が解けたことでした。