特殊詐欺、過去最悪ペース 兵庫の被害額、10月末で21億円 多さ際立つ「オレオレ詐欺」
兵庫県内で今年、確認された特殊詐欺の被害件数と被害額が、ともに過去最悪となる見込みであることが分かった。県警のまとめでは、10月末までに1099件、約20億9500万円の被害があり、いずれも過去最多だった昨年の約9割に上った。11月以降も増加傾向は変わらず、警察官や親族らを名乗ってだます「オレオレ詐欺」の多さが際立っている。(篠原拓真) 【表】オレオレ詐欺の登場人物の割合 県警によると、昨年の被害は1224件、約21億9千万円に上り、ともに過去最多を更新。ただ今年は、被害額の増加が激しく、10月末時点では昨年同期比で約2億8千万円増えた。 特に急増している手口がオレオレ詐欺で、166件(昨年同期比101件増)だった。被害額は約9億9千万円(同約6億3千万円増)に上り、3倍近くに増えた。特殊詐欺全体の被害額の半数近くを占め、悪化の主な要因となった。 息子や娘らを名乗り、両親や祖父母に金銭的な助けを求める手法が中心だったが、近年は登場人物や詐欺のストーリーが多様化。昨年以降、警察官をかたる手口による被害が多発している。 医療費などの返還を名目とした「還付金詐欺」は、昨年から引き続き被害が相次いだ。362件(同68件増)、約4億7千万円(同約1億6600万円増)で、オレオレ詐欺に次ぐ増え方を示した。 一方、未払い料金やパソコンのサポート費用などの支払いを名目とした「架空料金請求詐欺」は、328件(同106件減)と大幅に減少した。 県警の担当者は「意識の高まりで、従来の手口を見抜く人が増えたのではないか」と推察。「まずは詐欺の手口を知ってもらい、似たような話が出れば警戒をしてほしい」と呼びかける。