あなたの「ヨボヨボになりやすい」度を判定! 医者にヨボヨボにされやすいのはこんな人!
基準値だから長生きという科学的根拠はない
医療には、患者さん一人ひとりにとって「ちょうどいいかかわり方」というのがあります。病気で苦しんでいる人に必要な治療を少ししかしなければ病気の苦しみを取り除くことはできませんが、具合が悪いわけではない人に不必要かもしれない治療をしたり、生活を厳しく管理したりしすぎても、害が大きく、場合によっては命を縮めてしまう可能性があります。どんな薬にも副作用がありますし、「あれをしちゃダメ」「これは食べるな」と自由を制限させられるストレスは免疫力を下げるからです。 今の高齢者をとりまく医療は、後者の「本当は必要がないのに、やりすぎている」に傾いている可能性があります。 血圧、血糖値、コレステロール値などの検査データが異常値になっただけで、薬を出して基準値に戻そうとするのは、その代表例と言えるでしょう。年を重ねるにつれ、これらの数値が上がる人は増えますが、その人たちに薬を飲ませて数値を基準値に戻そうとすることがいいことなのかどうか。おそらくいいことなのだろうという期待があるだけで、実際のところは科学的な根拠がはっきりしません。しかも、異常値と判定される項目が増えて、飲む薬が増えていくのも高齢者ならではです。 医者は、生活指導と称し、食事や運動、お酒や喫煙などにも口出ししてきます。「塩分を控えなさい」「揚げものやラーメンなど脂っこいものはダメ」「甘いもののとりすぎもダメ」「腹八分目に」「お酒はほどほど」「たばこはやめましょう」「運動を心がけましょう」「やせましょう」……などなど、聞いているだけで気が滅入ってきます。 でも、考えてみてください。医者の言うような生活を実践している高齢者は、本当に元気で長生きしているのでしょうか。
エネルギッシュな高齢者に多いのは…
私の身近なところにいるエネルギッシュな高齢者は、よく食べ、異常値がひとつやふたつあってもあまり気にせず、人によっては医者にやめるように言われるたばこなどもたしなみ、好きなことをやって楽しんでいる人が少なくありません。医者が指導するような「清く、正しい」高齢者像とはかなりかけ離れているというのが、私の実感なのです。そして、「清く、正しい」高齢者には「枯れた」高齢者が多いという印象もあります。 私はこうした現代の医療を「高齢者をヨボヨボにする医療」と呼んでいますが、医者の言うことを素直に聞く優等生患者ほど、この「ヨボヨボ医療」にとりこまれていく可能性が高くなります。 おそろしいのは、本人がヨボヨボにされていることに気づかないこと。この連載ではでは、ヨボヨボにされやすいリスクを見える化してみました。
和田 秀樹(精神科医)