本郷和人『光る君へ』ついに物語を執筆し始めたまひろ。いよいよ<日本最古の女流作家>誕生へ…と本当に言えるのか?
◆源氏物語は何時代のもの? ではここで二問目です。『源氏物語』は何時代のもの? 描かれている内容も、書かれたタイミングも平安時代? もちろんそれはそうなのですが… この質問の答えの一例として、ぼくは「室町時代」をあげたいと思います。 というのは、このお話が貴族の必読書として広まったのは、どうも室町時代に入ってのことだからです。 逆に、平安や鎌倉時代には、「宮廷で知る人ぞ知る」ような存在だったらしい。 この史実は、一つの可能性を示唆します。 『源氏物語』ですら、はるか後年まで宮廷の貴族の共有財産になっていなかった。とすると、いつの間にか忘れ去られて後世に伝わらなかった「女性の手による物語」が他にもあったかもしれない、と。
◆突然、あんなに壮大な物語を書き上げる? そもそも紫式部が突然、あんなに壮大な物語を書きあげた、と想定するのは確かに不自然かもしれない。 誰かが書いた、もっとコンパクトな物語はすでにいくつか存在していて、女性のあいだなどで読まれていた。実はそうした蓄積をもとにして、名作『源氏物語』が生まれた。 そうは考えられないでしょうか? もしそうだとすると…私たちが知ることのない女流作家が存在していた「可能性は大」であるといえそうです。
本郷和人
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