『ハリポタ』の部屋を飾り付けていく!セットデコレーターの仕事とは?
家具の調達のために、アンティーク・フェアやマーケット、オークションなどにもよく出向く。『ハリー・ポッター』シリーズでは魔法界であることに説得力を持たせるために、そうした家具にさらに手を加えることも多かった。「誇張することで、魔法的に見せるんです。グリモールド・プレイス(ブラック家に受け継がれてきた家。不死鳥の騎士団の本部)用に四柱式ベッドを購入した時は、職人のところへ持って行って高さを2倍にしてもらいました。普通のベッドに見えるけれど、変化させています。そんな変化が大切で、安価な家具に特別な形で手を加えるというのが、まさに魔法なのです」
マクミランさんはそうした場でこれぞという一品を見つける力がずば抜けていたそう。グッドウィンは「スラグホーン(『ハリー・ポッターと謎のプリンス』での魔法薬学教授)用のスチーマートランクが必要で、それをその日に買わないといけないということがあったんです。そしていつも行くマーケットに行くと、まさに完璧なトランクがありました。ステファニーには必要なものを引き寄せる魔法を使えるんじゃないかと思いました」と尊敬を込めて語る。
「この仕事を始めた当初は、フェアに行くと『こんなにある中から一体どうやって選んだらいいのだろう!』と思ったものですが、セットに何が必要なのかを理解するようになると、自然と引き寄せられるものなんです。勘が冴えて、物から『あなたはわたしを必要としているでしょ?』と話し掛けられているような不思議な感じで、何を選べばいいかすぐにわかるようになるんです」
グッドウィンは現在、映画『ハリー・ポッター』シリーズの制作の舞台裏に足を踏み入れ、映画制作の驚くべき世界を体験できるウォークスルー型のエンターテインメント施設「スタジオツアーロンドン」と「スタジオツアー東京」の両方でセットデコレーターを務めている。「スタジオツアー東京」ではこの冬、クリスマスシーズン限定の特別企画「ホグワーツ・イン・ザ・スノー」が11月9日から2025年1月5日まで待望の初開催。第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』のクリスマスシーンを再現する特別企画だ。 グッドウィンは「今回のクリスマスでは、1作目に登場したものを継承しています。伝統的なクリスマスのゴールドといった美しいものですよ。わたしたちの部署は小道具を依頼しただけでなく、飾りつけ用の数々のアイテムも調達しました。多くのアイテムを購入し、それらにさらに要素を加えたり、変化させたりしたのです」と明かす。「クリスマスツリーに飾る金のヤマウズラは小道具で、それ以外の星のようなアイテムは当時購入したものだったので、同じ星を探してそれらを塗装し、テクスチャーを全く同じにしました」