現存する「最後の野生馬のゲノム」が解読される
ゲノムは種の保護にとって極めて重要な貢献を果たす
■ゲノムは種の保護にとって極めて重要な貢献を果たす モウコノウマのゲノムは、これらの希少なウマたちを保護し生存させ続けるために極めて重要な貢献をしている。研究者らはそれを使って、さまざまな遺伝子の突然変異が、絶滅の危機にあるウマたちの健康と保護にとって何を意味するのかを予測することができる。 「適切な参照情報なしに遺伝子を研究することは、30億ピースのジグソーパズルを見本なしで完成させるようなものです」と同研究の筆頭著者でミネソタ大学獣医学部の獣医バイオインフォマティクス研究者であるニコロル・フラックが指摘した。「重要な遺伝子の突然変異を研究しているモウコノウマの研究者には、自分たちのパズルを比較するための良いリファレンス画像が必要です」 モウコノウマのゲノム構造が解明された今、今後の応用研究として、彼らが環境の変化に順応する手助けをするための遺伝子研究、特定の形質に関連する突然変異の同定および低下しつつある集団の遺伝的多様性を維持するための将来の繁殖計画に情報を与えることなどがある。絶滅寸前まで追いやられた結果、ウマたちの個体数が著しく減少したことを踏まえると、この情報は保護増殖活動の継続的な成功のために不可欠だ。 「野生と動物園の両方で個体数を回復しつつあるモウコノウマの遺伝的健康を、ミネソタ大学と協力して維持していくことをうれしく思っています」と同研究の共著者でミネソタ動物園の獣医学博士、アン・リバスは語る。 「私たちの保護活動の結果、地域の人たちにこのウマたちを見せられることを大いに楽しみにしています」 出典:Nicole Flack, Lauren Hughes, Jacob Cassens, Maya Enriquez, Samrawit Gebeyehu, Mohammed Alshagawi, Jason Hatfield, Anna Kauffman, Baylor Brown, Caitlin Klaeui, Islam F Mabrouk, Carrie Walls, Taylor Yeater, Anne Rivas, and Christopher Faulk (2024). The genome of Przewalski's horse (Equus ferus przewalskii), G3 Genes|Genomes|Genetics, jkae113 | doi:10.1093/g3journal/jkae113
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